2025年3月下旬〜6月に読んだ小説
【亡霊の烏】
第二部に入ってずっと試されているような気がしているが、今回ラストではさらに別角度からえげつなくエグって来た。この作者性格悪すぎなのでは?
ラストはさておき、そこまでの間はずっと「ここからどうやったら“主人公雪哉”でエンディングを迎えられるか」ばかり考えていた。一つ思い浮かんだのは、澄生は偽物ではないか、ということ。本物の紫苑の宮は実は既に雪哉が保護していたりするのではないか。公表していないのは(前回の予想の続きで)紫苑の宮が真の金烏となっていて、奈月彦の二の舞になることを恐れている。同時に、ひっそりと山内を回って結界の綻びを直してもらっているのではないか。凪彦に対するあれこれの言動もブラフ。凪彦が敵方に通じている(あるいは敵からの接触がある)と見て、「雪斎を上手く騙せている」と思わせるための演技。最後の方で蛍を凪彦から引きはがしたのも、雪哉が次の真の金烏誕生を待ち望んでいるのであれば矛盾する行為だが、本物の紫苑の宮を確保していて、かつ紫苑の宮が真の金烏となっていれば辻褄が合う。
ちなみにだが、前の巻で澄生がどうやって滝壺に身を投じて生きていられたか、について「真の金烏だったから夜でも転身できたのでは?」と書いた。でもちょっと読み返すと水浅葱の短袍云々って書かれてて、それ着てたら転身できないよね?と。むしろあれは「澄生が真の金烏である」と周囲(というか読者)に思わせるための描写だったのかと今は疑っている。で、どうやって助かったかは、『DEATH NOTE』のヨツバ編で松田がマンションのベランダから落ちたあれ、ああいう感じでいいのではないかと。
小説版にはない記述だが、漫画版『主』の冒頭には「(八咫烏の一族が)滅びゆくまでの物語」とあるので、もしかすると“主人公雪哉”で終わりを迎えるにせよ、あまりハッピーエンドにはならないのかもしれない。そろそろ物語もラストに差し掛かっていると思われ、早ければ次、遅くともその次ぐらいで完結かな……どういう幕引きになるのか、私の予想が当たっているかどうか楽しみだ。
【Re:ゼロから始める異世界生活40】
スバルの権能を敵側から見るとこうなる、というテーマなのだろう。とは言え、死に戻りは本人以外の記憶が残らない関係で結局はスバルのいつものやつとそう大差はない?
40巻最後では、アルがボルカニカを操った(?)のと同じ原理でスバルが復活。ペトラの体にスバルの精神が宿った感じ? とりあえず現時点で最大の疑問は、この状態でスバルの死に戻りが作用するのか否か。私は「しない」ような気がする。今もスバルの本体はアルの放った陰魔法「オル・シャマク」で閉じ込められていて、スバルの精神が宿ったペトラが死んでもスバル自身は死にはしない――というのが根拠だが、作者が物語の進行上必要があると感じたなら、何らかの理由をこじつけてでもスバルinペトラに死に戻りをさせるだろう。サテラがスバルinペトラを愛しい人と認識すれば発動させそうだし。でもまあ、私が作者ならスバルinペトラにはこう考えさせる。「死に戻りできるかどうか分からない。できるかもしれないけどできないかもしれない。できなかったときに取り返しが付かないから、間違っても死なないようにしよう。試すなんて以ての外だ」とね。まあ当のスバルくんもいつも死のうと思って死んでるわけじゃないけどね。あと、アルが死に戻りを繰り返しているので、スバルも死に戻りをすると話がしっちゃかめっちゃかになっちゃう。アルが死に戻りをアホほど繰り返して力技で突き進んでいるので、対照的にスバルは死に戻りなしの一発でアルを“仕留めて”欲しい。
【一生働きたくない俺が、クラスメイトの大人気アイドルに懐かれたら 7
国民的美少女アイドルたちは夢の舞台にたつそうです】
もう完全にお料理番組(笑) ストーリーは……あるようなないようなやっぱり一応はあるんだけど。そんな感じで読み終えて一週間すると内容を大体忘れている。例によって表紙イラストが素晴らしく、振り袖姿の玲……なんだけど、本編で初詣に行く時は平服。表紙詐欺か!?と思ったら最後の「番外編」で三人揃って振り袖おまけで主人公凛太郎が袴姿になる。うーんでも表紙だと屋外だしお寺っぽい場所だし(初詣の場合神社じゃないとおかしいが)。そうそう、「番外編」だから省略されたんだと思うんだけど、ここ挿絵が必要なとこでしょ。前にも書いたけど(『才女のお世話』あたり?)「ここ!」というところでイラストないのは何だか悔しいな。
【Re:ゼロから始める異世界生活 短編集12】
単行本半分弱の長さの物語2編と本当の短編1つ。
最初はユリウスの昔話。一番の注目点は、アーデルハイトという少女はラインハルトの女装ということでいいのかな? スバルだけじゃなかったのか!!! もちろんラインハルトも趣味でやってるわけじゃなく、父ハインケルに疑惑が掛かっているので表立って動くわけにはいかなかったという理由があった。で、最期ユリウスがそれに気付いてたかどうか。入院中のシーンや後日談でのラインハルトの会話を見るに、「何となくそうじゃないかとは思ってるけど確信はない」ぐらいかなあ。そしてアーデルハイトが“誰かの女装”であると判明したシーンの貧民街の女の子は……やっぱりフェルトかな? その後主従関係となる2人の初の邂逅、となればもう1点気になること。フェルトがこの時のことを覚えているのかどうか。覚えていたら……ラインハルトのこと弄り倒すだろうな(笑) 覚えてないか、あるいは「あんときの女装のあんちゃん」がラインハルトだったとは気付いていないか。最後にもう1つ。騎士団に入る前から団員のことにやけに詳しいユリウス。そのユリウスの“博識ぶり”に大先輩の銀騎士ビクラムが言い放つ、「お前は本当に、ずっと怖いんだよ」――「ずっと怖い」というフレーズで前回の『烏の緑羽』を連想する。今流行ってる言い回しなのかな?
2編目はセリーナとロズワールの“馴れ初め”。帝国編でセリーナがロズワールに協力的だったあたりの伏線回収といったところか。狼人も後で再登場するかもしれないので覚えて……おいた方が良さそうだが、残念ながら橘雪翼の脳はそれを置いておくには小さすぎる。本編に出てきたとしても最初は思い出せず、途中で「ああそういえば短編で出てきてたやつか!」となればまだいい方。ずっとずっと最後の方になって「あれ? もしかして前に出てきてたキャラ?」ぐらいになりそうだ。
という記憶力のなさが次も炸裂する。最後のアルとヤエの昔話……えっと、もしかしてヤエってもっと前の短編で出てきてたキャラクターだっけ? 何か言われてみればそんな話もあったかなあ……ぐらいには思い出せないこともないんだけど、短編集ってそんなにしっかり読み込まないからなあ。
―――――
燃え尽き症候群、というわけでもないのだが、毎月小説感想文書いてた頃が嘘のように3ヵ月も開いてしまった。『八咫烏』シリーズが最新刊に追い付いて弾切れ……という事情もあるが、『Re:ゼロ短編集』『クラなつ』の発売日が4月25日だったので、そこから2ヵ月も掛かっている。そして現在、『才女のお世話』『キマイラ』『Re:ゼロ』『魔奴愛』の最新刊で4冊溜まっている。勤勉ならば来週あたりに次の小説感想文が書けてもおかしくない。現実は積読に近い状態だ。今月後半に『餓狼伝』、8月頭には新作も控えているのでちょっと一度気合入れないと。
「え? この状況でまた新しいの読むの?」
って突っ込まれそうだな。ええそうですよ、この状況でまた新しいの読むんですよ。だってまた新しいのが出るんだもの。文句は『クラなつ』の岸本何某に言ってくれ。っていうかまた「みわべさくら」なんだよ。みわベ先生ご多忙なのに新作の挿絵描かすなよ。あるいは何か弱みでも握ってんの?
というわけで、当面は「『デート・ア・ライブ』読んでみる」の件も凍結するしかないようだ。ま、気になったらそのタイミングで手を出しちゃったりするんだけどね。
(2025.07.03)
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