「旧型国電 東海道山陽緩行線(II)」完成
「旧型国電 東海道山陽緩行線(II)」が完成した
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 少し時間が掛かったが、「旧型国電 東海道山陽緩行線(II)」の完成である。いつも編成単位で作ることが多いが、今回は1編成にプラスアルファしての8両を制作。5両がタヴァサホビーハウスの金属コンバージョンキット、残る3両がグリーンマックスのプラスチックキットベースである。

クモハ54113
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 形式の数字の小さな方から順に行こう。まずは「クモハ54113」。俗に言う40系のクモハ60をロングシート化した車両だ。いつも通りGMキットの40系と51系を切り継いでいる。余談だが、「片町線(II)」でクモハ411127の形態を間違えて加工し始めた「半流クモハ41」の部品を使った。

クハ55159
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 「クハ55159」はクロハ69を格下げした上でロングシート化した車両である。模型はクハ68のキットをベースに、細部の寸法には目を瞑り旧二等室部分の窓寸法に手を加えるだけのお手軽加工。ベンチレーターの配置が不均等なところが元合造車っぽい?

クハ68001
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 クロハ59改造の「クハ68001」。「大糸線(I)」(*1)(リンク先3両目)でタヴァサのキットを使って組んでいるが、その時代違いということになる。但し、今回は特定ナンバーというわけではない。クハ47キットから扉位置変更及び増設、そして窓配置の大幅改造が必要となり、今回最も手間の掛かった車両となった。
 以上3両が戦前型になるが、いずれも新製時から形式が変化した車両となった。

*1 当時は「一期」とか「(II)」とか言う表現はしていなかった。リンク先では「第二弾」と書いてるが、別の意味である。

モハ72084
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 モハ72の近代化改造車「モハ72084」。大井工場施工車で、写真では分かりにくいが窓隅にRが付いている。このタイプの車両はもっとあると思っていたのだが、関西で走っていたのはごく少数? 選択肢がほぼなく自動的にナンバーが「084」に決まった。

モハ72936
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 近代化改造車とそっくりだが、920番台の「モハ72936」。当初「084」の方に動力を入れる予定だったのだが、DT20形台車のストックが切れていたことや、主制御器、遮断器が新タイプなのを忘れて床板に補強板兼スペーサーを接着してしまったことなどが理由に、最終組み立て段階で変更となった。なおストックのなかったDT20については、以前完成させた別の車両から拝借して取り付けてある。

クモハ73037
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 近代化改造車の「クモハ73037」。一応特定ナンバーで、選出理由は前面に配管が露出していないこと。番号部分が回文になっているのも好みのポイントだ。

クモハ73359
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 「クモハ73359」も近代化改造車なのだが、何故かウィンドシル・ヘッダーが露出している異端車である。知らなければ試作タイプの近代化改造車と勘違いするだろう。キットはイベント限定のものだったらしく、私は中古ショップで偶然発見して購入した。

クハ79338
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 キットでは「300番台中期型」となっている「クハ79338」。クハ79の300番台は複雑であまり良く覚えていない。後述するが、今回作った中では唯一の偶数向き先頭車。車両配置表を見ると選択肢が多いようにも見えたのだが、実はそのうち3両か4両が異端車という罠があり、モハ72084同様半自動的に番号が決定した。

戦前型3両の前面(画像をクリックすると大きな画像が表示されます)

 左からクモハ54、クハ55、クハ69。クモハ54とクハ55は想定年代には既にHゴム化されていた可能性もあるが、今回はいずれも木枠としている。Hゴム窓の車両はまたどうせ「宇野・赤穂線(II)」とか「宇部・小野田線」でいっぱい作らなきゃなんないはずだからね。

72系3両の前面(画像をクリックすると大きな画像が表示されます)

 左からクモハ73037、73359、クハ79338。クモハ73359は前面パーツにジャンパ栓用の穴が開いていたので、それを塞ぐようにしてジャンパ栓パーツを取り付けた。そのため少しだけ取り付け位置が高い。実車写真を見るとこの位置で合っているような少し高めのような、微妙に難しいところである。ホースの下部をカットしなくてはいけないので、クモハ73037ではホース優先の少し低い位置に取り付けたが、テールライトとの位置関係を見ると少し不自然かもしれない。クハ79は助手席窓が2段でHゴムという独特の形態をしている。プラキット加工で作ると大変面倒くさそうなので、金属キットでお手軽にスッキリ仕上げられるのは嬉しいところ。

 ジャンパ栓パーツを見ると分かる通り、先頭車両6両のうち5両が奇数車という歪な構成になっている。これは東海道山陽緩行線の編成(「4+3」の7連を想定)では「偶数向きクモハは編成の先頭に立つことがない」ことから、せっかく作っても中間封じ込めでは楽しくないとクモハ全車を奇数向きに設定したせいである。偶数向きクモハが必要な時は、奇数向きクモハをひっくり返して代用するという乱暴な解決法を取ることにした(事実冒頭の写真では、クモハ54113が前から3両目で偶数向きに連結されている)。なお、クハのうち戦前型2両は該当車両が全車奇数向きであったため、そちらで調整するという手も使えなかった。

色の問題
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 去年作った「宇野・赤穂線」で、ぶどう色2号が前に塗った時とかなり違った色になってしまった。今回も瓶から出した「ぶどう色2号」は「宇野・赤穂線」とほぼ同色になってしまい、結局調色することになった。写真は左が今回のもので、右が12年前に作った「東海道山陽緩行線(I)」(*2)である。写真で見ると相変わらず差はあるのだけれど、肉眼レベルではかなりいいところまで来ていて、少なくとも「宇野・赤穂線」よりははるかにマシ。

*2 例によって、当時は「〇期」とか「(II)」表記ではなかった。

クハ79300の背が低い問題
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 制作報告の途中で、「クハ79300はキットの世代が違うので背が低い」みたいなことを書いたが、一応実車も低いようなのでそういう設計なのかもしれない。ただ、写真を見る限りこの模型のような明らかな差があるようにも見えない。いずれにせよもう組み立てた後だし、知っていたところで修正も難しい。次にこのキットを組むとしてもそのまま組み立てることだろう。

クハ79300シリーズ
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 クハ79300は「片町線(II)」でGMキット加工で作った際にも“見落とし”により低くなっている。比べてみると今回のよりもさらに低め(写真一番左;線路が傾いているせいで余計に差が酷く見えるが、実際には微差)。右写真の朱色1号の車両は、同じタヴァサの新設計キットを組み立てた「阪和線(II)」の車両で、こちらは流石に揃っている。

 金属キット5両とプラキット3両という陣容になった。「片町線(II)」の時に手元にある金属キットの陣容を確認し、早々に全車作ってしまうことにした。もう少し残っているのだが、「阪和・片町線(III)」と「新潟(II)」で旧型国電に関しては全て消化できる予定である。計画を立ててまとめて購入してから十年以上が経ってしまったが、それでも全部組み立てる目途が立ちそうで少し気が楽になった。
 「(I)」で中間電動車としてモハ72を作ったので、次はモハ70を作る予定だった。ところが金属キット消化を優先したために再びモハ72になってしまい……「(III)」でようやくモハ70が作れそうである。東海道山陽緩行線は既に2編成組める陣容になったので、「(III)」では編成主体ではなく車両本位での組み立ても考えている。一気に行くならモハ70の100番台と120番台を各2両、なんて構成も?(また時間掛かりそう)

(2023.09.10)
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