2025年7月〜8月上旬に読んだ小説
【キマイラ23 魔宮変】 前の巻か、その前ぐらいから話の軸が現在の日本となり、話が前に進んでいる感じはするがその歩みは速くない。ちょっとじれったいと思う一方で、過去の出来事について記述されていたあたりの方が、キマイラの神秘性、謎に迫っていて面白かったなあと感じたりも。せっかく主人公である大鳳吼が出てきてるのに、なんでだろう。もしかしてだが、夢枕獏は高校生を描写するのがあんまり上手じゃない……?
【才女のお世話10 高嶺の花だらけな名門校で、学院一のお嬢様(生活能力皆無)を陰ながらお世話することになりました】
表紙は港真希前生徒会長。彼女は友成伊月への私怨?ぽいのもあって城東陣営に付く。伊月陣営の内情を探るために学校のパソコンに細工するのだが……数あるパソコンの中からどうやって伊月たちが使うものをピンポイントで当てたか。正解は――どれを使うか分からないから全部に仕掛けた。実に脳筋力技であるが、私はこういうの嫌いじゃない。しかしあれだね、学校のパソコンの設定勝手に変えて怒られないんだろうか? そもそも論で、電源を切ったら初期設定に戻るというパソコンが謎すぎるのだが……作業したデーターは外部メディアに保存して持ち帰れってことだろうか。じゃあ伊月たちの極秘会議の内容がどうやってパソコンに残ったのか。やっぱり謎過ぎる。
そんな策を弄した港にブチ切れる伊月くん。ダークサイドへ堕ちそうになるが、すんでのところで持ちこたえる。これ、闇堕ちしてたらどうなっていただろう。天王寺美麗と都島成香は伊月を、見限らないにしても距離を取るようになっていたかもしれない。ただ一人、此花雛子だけは……「それでも伊月が好き」って言ってそう。「伊月がこうなったのは兄・琢磨のせい」みたいなのもあるだろうし、何より“あの二人が撤退してくれたら伊月は私が一人占め”って考えそう。というわけで、伊月が主人公らしくて一番損したのはヒロインの雛子。私の中ではそういう結論になった。
てなわけで生徒会選挙編は無事完了する。次は文化祭編……作者によるとラブコメの方を進めて行きたいな、ということらしい。うん、一応この作品ラブコメだからね。っていうかここまでずっとラブコメとして読んでたから、斬新だなあと思ってたんだが……もしかして違ったのか?
【Re:ゼロから始める異世界生活41】
レ・ム・り・ん・完・全・復・活!!
ファン待望のレムがついに完全復活である。トゲ付き殺傷力満点の鉄球を片手にドヤ顔満面の笑みが眩しい! とは言っても、暴食の大罪司教を完全攻略したわけではなく、どさくさに紛れて……でもないな。これなんて表現すればいいんだろう。レムがレムのポジションにいたから、ロイが記憶を返す対象に選んだだけ。一つ判明したのが、暴食の大罪司教ロイの意思で記憶を戻すことができるということ。レムに関しては偶発的にこうなったけど、他の多くの人々の分を取り戻すにはロイを説得しなければいけない? 極めて難しそうである。
もう一つの見せ場はヴィルヘルム。久々の登場(だったはず)で、ヤエを下した後は神龍ボルニカと大激戦を繰り広げる。このままボルニカを倒してしまうのか?と思われたところに横槍を入れるのはハインケル。いやさあお前、息子と親父が世界を守る戦いをしているところでお前のやることがこれかよ。とは言え、物語の進行の都合を考えるとヴィルヘルムがボルニカを倒しても困るし、逆の場合ヴィルヘルムが即死するのでよろしくない。間を取るとこの情けないオッサンの出番なのかなあ。
さて、ペトラの頭上に浮かんだイマジナリースバルくん。これ、本当にイマジナリーなだけでペトラはペトラのままだった。ボルニカに自分の意思を移植して操ったアルとは状況が大違いで、この辺りの差異がどういった理由で発生するのか作者に説明を求めたい。「物語の進行の都合上です」って言われそう。そんなわけで、40巻の感想で言ってた死に戻りとかは今後とも一切なさそう。
最後にフェルトが不穏な事実に気付く。ルアンナが覚めない眠りについた原因はラインハルト? もしかしてこの章のメインテーマってこれだったりする?
【デート・ア・ライブ 十香デッドエンド】
二次元の嫁のところで「知らない作品のグッズだけど、これに関しては原作を読んでみようかな」と言っていたやつである。この作品、やたらとたくさん可愛い女の子が出てきて、メインのヒロインは時崎狂三だと思っていたのだが……最初に出てくるのは夜刀神十香(登場時点では名前がない)だった。第一巻のメインヒロインということは作品通じてのヒロインのはず……じゃあどうして狂三がこんなに目立つんだ? きっとあれだな、『Re:ゼロ』と同じで作者が想定してたのと違う子が人気出ちゃったタイプだなきっと。
ざっくり作品紹介をしておくと、現代日本が舞台のファンタジー。精霊と呼ばれる存在が、異界からこちらの世界へ転移するときに周囲に甚大な被害を及ぼす。その対策で公になっていない?2つの組織がある。主人公の妹がそのうちの1つのトップで、兄である五河士道は精霊と対話……というか「精霊とデートして仲良くなれ」という使命を帯びることになる。設定としてはシリアス寄りだと思うのだが、会話を始めとして脱力系な要素が多く緊張感が感じられない。ギャップ萌えでも狙ってるんでしょうか(用語が誤用ぎみ)。肩の力抜いて気軽に楽しめそうではあるので、とりあえずあと何冊かは読んでみる。
>4月10日に初めて会ったから
最初は名を持たなかった精霊夜刀神十香。士道が名前を付けてあげることになり、「安直な」発想で4月10日に初めて会ったから「とおか」と名付ける。安直と言えば安直だが、「君と最初に会った日を忘れない」と捉えれば割とロマンチックだと思うのは私のセンスが腐っているからだろうか?
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というわけで、今回の4冊は最後が予定と入れ替わった。ええと、電子書籍版を、例の30%の時に買って、続きを買う都合もあるので2日で読み切りました。いや、2日で読まなくても全然大丈夫だったんだけど……このページの更新時点ではまだ30%還元の真っ最中。余裕も余裕だったんだけど、読み始めたら先が気になった――面白かったというわけで。
というわけで(2回目)変化に富むラインナップ。『キマイラ』は久しぶりの新刊(いつもそうだが)にして、作者の寿命と物語の完結との勝負の行方に大注目である(というほど夢枕獏も歳ではないが、いかんせん刊行ペースと物語の進みが遅いので)。『才女のお世話』は、作者が取材をしっかりしたいからと刊行ペースがやや落ちているのだが、それでもまあまあコンスタント。『Re:ゼロ』は相変わらず。次の新刊は9月だぜ! 最後に、二次嫁方面からの輸入?品『デート・ア・ライブ』。完結作品で本編全22巻(に加えて短編とかスピンオフとか)らしい。こういう感じで読む作品を増やすと手が一杯になって大変なのでレアケースとしておきたいが、それで面白い作品と出会えるのならそれはそれでいいのかも。
次回は『デアラ』に颯爽と先を越された『魔奴愛』に、そろそろ発売されてるんだけどメ□ンの発送の都合でまだ届いてない某新作。その後の予定があんまりないんだけど、『デアラ』の続きと9月発売予定の『Re:ゼロ』42巻、以上の4冊かな。
(2025.08.14)
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