2024年5月〜7月初頭に読んだ小説
前回の反省で読み終えてすぐにメモ……したのだが、あまりにも簡素で抜け落ちがあって、結局ざっと読み返すことになった。それでもまあ、「やらないよりマシ」程度には反省が生きた。本当は読みえた直後にしっかり書いとけばいいんだけど、「更新するぞ!」という段階にならないとスイッチが入らなかったり。
【才女のお世話 8 高嶺の花だらけな名門校で、学院一のお嬢様(生活能力皆無)を陰ながらお世話することになりました】
この人たち何やってんの!?な1冊だった。
まず、メイド長の静音さん。コスプレが趣味であること、メイド服着たいから此花家でメイドすることにしたと判明――ここまでは問題がなかった。突如始まるコスプレ撮影会。えっと、仕事の合間じゃないの? 休憩時間中としてもそんなに時間の余裕があるとも思えないんだが? でもって、男子高校生の前で際どい服着るのはやめといたほうがいいよ!? この後判明する事実で、いつの間にか伊月は静音さんより強くなってるし。そしてお約束の展開?で、ばっちり雛子の誤解を招くことになった。2人がどう誤解を解くのかが楽しみでワクワクしながら頁を捲った……のだが、雛子オーバーヒート(失神)から「夢でも見てたんじゃ?」と誤魔化して終わりだったのは面白くないっ!!
次に警備の人たち。1巻ラストで伊月にのされた件のリベンジマッチということだが、伊月の「もしかして大人げないことされてるのでは」は読者の代弁。でも彼らにも矜持があるのだよ……と思って続き読んでたらまさかの伊月の勝ち越し。伊月どれだけ多才なの!? 静音さんの言う通り警護職に就くか、あるいは格闘技の道に進んだ方が良いかもしれない。
最後に天王寺美麗。勉強会で伊月の部屋に通され、偶然一人きりになったからって……部屋の中を軽く見まわすのはありだが、ベッドの中に入るのは流石にやりすぎで。そして布団についた匂いが雛子のものであることに気付いてしまう。ここは6巻の雛子のセリフ(?)を思い出すとこ。
「恐れ入ったか天王寺美麗。これが物理的な距離の強さだ。」
以上、こんな感じのトンデモ巻だった。さてさて、私が「伊月! そのポジション……俺に代われっ!!」と思ったシーンは以下のうちどれでしょう?
(1) 静音さんにコスプレ撮影を任される
(2) 眠っていたところを百合に起こされる
(3) 成香に壁ドン(誤用)される
正解は本頁末尾にて――今日は珍しくちゃんと解答を載せるぞ! 普段解答なかったりするのは意図的なものだ!(反省の色ナシ!)
【Re:ゼロから始める異世界生活 短編集10】
いつもは4編ぐらい入っているのだが、実質2編。しかも最初の話が全体の2/3ぐらいを占める。これ、短編なのか?と思ったけど、本編がやたらめったら長いのに比べたら短編でいいのかな?
1巻で出てきたゴロツキのガストン、ラチンス、カンバリーの3人組。どう考えても1巻限りの端役に見えたのだが……出世したなあ。同じく1巻が初登場のフェルトの陣営に組み込まれて大活躍。私的にはこの3人にスポットライトを当てられてもちょいと困惑なのだが。無理やり登場人物全員活躍させなくてもいいんだよ? って言うと「短編まで無理やり読まなくていいんだよ?」って返されそうだが。短編で出てきたキャラが本編に出てくることもあるから、一応短編集も読んどかないといけないんだよ!(相手の術中にハマっている)
後半はいきなり推理小説風な物語が始まる……読み込みが甘いせいか登場人物全員が新キャラかと頭の中に疑問符を浮かべながら読んでいたが……「オメガ」はエキドナの作ったクローンのうちの1体? そして“推理モノ”の決着は、ページ数の都合かかなりざっくりとしたものでちょいと消化不良。
ところで、短編集は当初本編集と同じ大塚真一郎がイラストを担当していたが、途中で2度イラストレーターが変更されている。10巻は7巻からの福きつね。7巻の時は感じなかったのだが、10巻でかなりイメージが崩れてきたような気が。当初は大塚デザインに寄せていたが、だんだんと自我が強くなってきたとかか?
【冬季限定ボンボンショコラ事件】
『春季限定いちごタルト事件』から始まった「小市民」シリーズのラストを飾る『ボンボンショコラ事件』。秋が前後編の大作かついい感じで終わり、さらには10年以上続きが出ないものだから冬をやらずにマロングラッs『秋季限定栗きんとん事件』で完結か?と思っていた時期もあった。しかしこの度、無事『冬季限定』で季節が一巡りして一安心。ちなみにその間で短編集『巴里マカロンの謎』と言うのが出ていたらしい……タイトルの統一性が薄く、小市民シリーズだと気付いてなかった。
最近の作品にありがちなのが、人気が出てくるとスピンオフが制作されること。登場人物のうち脇役を主人公にしたお話や、前日譚と言ったものが多い。『ボンボンショコラ』は本編内に「前日譚」を持ってくる構成だった。いかにして小鳩常悟朗と小佐内ゆきは知り合ったか。なぜ彼らは小市民であろうとしたのか。といったあたりが現在軸で起きた事件と過去に起きた事件とをリンクさせながら語られる。米澤穂信らしい語り口だ。
推理小説っぽく、序盤から“伏線”が張られていた。食後のコップ一杯の水と看護師の名前が出てこないところ。コップの水に関しては違和感を抱いていた。とは言え、私は病院で入院したことがない。幸いにして(いやホント幸運なことに)ここまで人生四十余年、大怪我も大病も経験したことがないのだ。だから「もしかするとそんなものなのかな……」と事件とは切り離して見ていた……のが悔しい! ちょろっと読み返すと「水を飲むかどうかが治療の最重要ポイントであるかのように」という表現があったが、この行はむしろ「推理の重要ポイント」としてじっくり読み込まないとダメなところだった。ここに疑問を抱けば、看護師の名前が出てこない不思議に気付き、芋づる式に行けたかもしれないのに! ま、そうは言っても私、元々推理小説をあんまり推理しながら読まないんだけどね。そんなことしてたら一生読み終わらないような気がするから。
【くま クマ 熊 ベアー20.5】
「20.5」という端数から分かる通り短編集だ。各種店舗特典などをまとめたものになる。従って本編の進捗はなく、刊行ペース遅いのを短編集で誤魔化された気もする。既に20巻も出ていると話のネタも尽きて、なかなか筆が進まないのかもしれないが。本編37冊に加えて外伝と短編を書いてなお本編が年3〜4冊ペースで進む『Re:ゼロ』の長月達平がおかしいだけなんだ。
短編集は基本的に脇役キャラクター目線のお話。本編と同じストーリーが別キャラの口から語られるだけで目新しいところもあまりなく、退屈。尤も、店舗特典の小説にあまり重要な話をぶち込まれても困るところで、読まなくても問題ない話の方が安心と言えば安心だ。
ちょっと面白かったのが「TVアニメ番宣小説」シリーズ。ユナが神様からテレビを貰って、「TVアニメ版『くまクマ熊ベアー』」を視聴するというお話。所謂「メタ」的な物語になり、もちろん本編とは関わりのない別軸の話になる。こうした“おふざけ”ができるのは『くま クマ 熊 ベアー』ならではか。ちなみに私はアニメ版をほぼ見ていないので、この一連の短編読んで初めて一部の話がカットされていることやオリジナル話の内容を知った。
あ、そうそう、最後の描き下ろし漫画『くまクマ熊ようちえん』は面白かった。この“スピンオフ”はもっと読みたいところだが……せるげい先生が描いたんだよな。本編コミカライズの進行は速いとは言えないので、あんまり別のことで時間を取られるのは良くない。というわけで『くまようちえん』の続きは我慢しよう。
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というわけで(今回も)4冊。発売日順に直すと
3月25日 Re:ゼロから始める異世界生活 短編集10
4月30日 冬期限定ボンボンショコラ事件
5月1日 才女のお世話 8
5月2日 くま クマ 熊 ベアー20.5
『才女のお世話』は近所の本屋になく、入手が遅れて最後となった。で、読み終わった順は感想文を載せた順になるのだが……このラインナップで『くま』が最後まで残るって誰が予想できる!? 私自身が驚いたよ! 『ボンボンショコラ』読み終えてこの感想文を書こうとして「あっ、『くま』がまだ途中だ!」って! 感想のところに書いた通り、「特に面白くなかった」のが他ならぬ理由なんだけどね!
さて、例によって『Re:ゼロ』の本編の続きが出ている(読み始めている)。『クラなつ』も新刊が出たのだが、『才女のお世話』同様近所の本屋になくて未入手。いや、某店舗特典を諦めたわけだし近所の本屋で注文しとけばいいんだけど……その、ほら、一応『才女のお世話』と『クラなつ』は「二次元の嫁」ポジションだから。一部の店員さんに顔を覚えられてる近所の本屋で注文までして買うのはちょっと抵抗感が。普段『Re:ゼロ』とか『魔奴愛』とか普通に買ってるから、向こうからすれば「そういう人」だと普通に思われてる可能性もあるけどね。
前回も書いたように、次の小説感想文はいつになるかちょっと分からない。現状発刊されているのは『Re:ゼロ』と『クラなつ』の2冊だけで、きっちり把握していないが発売予定の新刊もない。最悪の場合9月の『Re:ゼロ』(多分出るんじゃないかと)が3冊目になる可能性もある。そんなわけで前回書いたように、『ゆうえんち』と随分前に買ったものの最初の数ページから進んでない某(実は「二次元の嫁」案件)の出番かもしれない。それと今回存在を認識した『巴里マカロン』と、あと『黒牢城』を買ってみてもいいかな。
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さてお待たせしました。『才女のお世話』のクイズの解答は……
(1)!
「撮影」というキーワードがあったから簡単だったと思います! 簡単だった……よね?(謎の圧) コスプレ抜きにしてもみわベさくらデザインの可愛い女の子の撮影会なんて羨ましいにも程があるだろ!
……と、読んでるときは思ったのだが、冷静に考えると普段からリリアたんの撮影会している私にとっては大して羨ましいことでもなかったり。
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前回の補足。『魔奴愛』18巻のところで「フェネクス」を「フェニックス」をもじったものだと思っていたのだが、表記の揺れ?というやつで「フェネクス」という表現も普通にあるようだ。ちなみに「ソロモン72柱」という悪魔の一人らしい。えーっ、「フェニックス」が「悪魔」なの??? 72柱の一覧見ていると、結構見たことがある名前が……大半が『魔奴愛』のキャラクター名だったが。気になったのは「セーレ(Seere)」。『エヴァンゲリオン』のゼーレ(Seele)はここから名前を取っているのだろうか?
(2024.07.10)
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