2024年2〜5月頃に読んだ小説

  
 5月始まってすぐ4冊目が溜まったのだが、諸々あって更新が後回しになってしまった。その諸々のうちの1つが……読み終わってすぐメモ取っておかなかったせいで内容を忘れてしまい、(ざっとではあるが)読み返すことになり、それでかなりの時間を喰ってしまった。要・反省だ(*0)。

【Re:ゼロから始める異世界生活36】
 いろいろなシーンがあったが、私的に印象的だったのはハインケルだろう。ただのダメ親父だと思っていたのだが、ハインケルはハインケルなりに悩んで悩んでどうしようもなかったからこうなっちまったんだな。ロウアンとセシルス親子の異常さが描写されることで、意外や意外ハインケルが意外とまともだったことが判明してしまう。意外とというか、冷静に考えたら分かりそうなところだったか。息子が完璧超人万能を絵に描いたかのような剣聖ラインハルト。そりゃ誰が親やっても自分の無力さに自暴自棄になりますわー。
 ところでなんだが、「星詠み」の設定がイマイチ物語でどういう役割を果たしているのかピンとこない。ウビルクに関してはまあいいのだが、ロウアンにセシルスがそうであることに何の意味があったのか。そもそも天命の重さ、傾向が違うような気もして……そういやシュドラクの民の彼女の場合どんなだっけ? 細かいところ読み落としというか、忘れていることもあるので何とも言いようがなかったりするのだが。

【一生働きたくない俺が、クラスメイトの大人気アイドルに懐かれたら 5
 美少女アイドルたちにライバルが現れました
 サブタイトルに書いてある通りライバル「チョコレート・ツインズ」が現れる。ツインズって言われるとどうしてもペアになった目玉のボスモンスターを連想してしまう(*1)――というのは多少冗談だが、読んだ時期的な問題でとあるイラストレーターの描いたキャラクターにイメージを引っ張られながら読んでいた(*2)。
 この作品、ヒロインは3人いて、その3人はアイドルグループを形成している。で、この作品、ラブコメである。当然のようにその3人は主人公に惹かれているわけで……“ライバル出現”となると、どっちの意味で?ということになる。まあ愚問だったな。アイドルとしても恋愛方面でもライバルだ。もっともツインズの2人のうち、積極的に仕掛けてきたのは白い方(便宜上こう表現する)で、かつ恋愛感情というよりは「飯係として良さそう」みたいなもんだけど。この後この2人が再登場するのかどうか分からないが、次出てきたら恋敵として活躍しそうな予感がする。ま、作者もあんまりそこまで考えてないだろう――読者の反応次第で先の展開は変わりそう。私? うーん、私としてはまあ別にどっちでも、って感じかなあ。

*1 ゲーム『Terraria』のボス。おそらく多くのプレイヤーが初めて戦うボス「クルトゥフの目玉」の超強化版。「クルトゥフの目玉」は一つだけ出てくるが、後半登場する「ツインズ」はペアになっている。同じ強化版ボスである「デストロイヤー」「スケルトロン・プライム」を加えた3つの中では、「ツインズ」が最も手強かったように思う。
*2 いつまで経っても「橘雪翼的神絵師ランキング」が2位で止まっているのは如何なものかと思い、C103の通販に際して「いろいろなイラストレーターに目を向けてみようキャンペーン」を展開していくつか買ってみた中の1人。薄い本(俗称ではあるがこの表現がドンピシャである)とタペストリーを買ってみたのだが、髪色が薄い子と黒い子が出てくるのでちょうど今回のツインズと似通っている。

【Re:ゼロから始める異世界生活37】
 いよいよ大災編最終決戦。各地点でのバトルがメインとなる37巻。盛り上がっているようで私的には主人公の出番があまりないのと、全体的に話が長いのでややイマイチ。ギミック的に面白かったのはセシルス対アラキア。死に戻りを知らないセシルスが、アルに期待して手を伸ばす。1万回を越える試行の後にそれに気付いて青龍刀を投げて寄越すアル。死に戻りを知らないセシルスだが、ここまででアルのことを「何百分の一の確率の当たりくじを引いて来た男」として認識している。セシルスの認識とアルの実際の行動はかなりかけ離れているのだが、それを“合致”させる展開はやや退屈な37巻の中で光っていた。その直後にもう1つある。それは行方不明のセシルスの愛刀のうちの1本『夢剣』マサユメ。戦いの最中セシルスは白昼夢を見る。それは読者に「セシルスがチシャの手により幼児化した顛末を届ける」だけでなく、子ども化したセシルスがその手にマサユメを取り戻すプロセスになっていた。「『夢剣』マサユメは夢を鞘とする」――いや、これは痺れたわ。
 別の意味で面白かったのは、アベルがプリシラをどう思っているか。堂々と表舞台に出てきて陽剣振り回してるのを「アイツ、何やってんだ……」って思って見てたんだね。スバルの言う通りこれはアベルの心中察する。しかしプリシラが度々陽剣を使ったことが最終局面で役に立った。プリシラが陽剣を持っているイコールアベルは陽剣を持っていない、と早合点したスピンクス。まあ普通に考えてそうである。まさか陽剣が何本もあるとは思わんよ。それもただの剣じゃない、帝国の王位継承者が持つ剣なんだから――正確には継承者候補(全員)が持つ剣なんだけど、そこは知られてなかったってことだ。
 そしてまだ帝国でのお話が終わらない……長い、長すぎるよ……。3最後エキドナが復活した?っぽい描写だけど、そういや4章のラストでもそんなのなかったっけ? 37冊も続いているのに、まだ話が収束する方へ向かってない気がする。そろそろぼちぼち何とかしてくれ。

【魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?18】
 魔王が一人、「黄金卿」のフェネクス。中世ヨーロッパでペストが流行ったときに医者が使っていたというそれを彷彿とさせるデザインのマスクを被っている。言動にひたすら小者感溢れるのだが、魔王の中でも相当な実力者(と、毎回聞かされている気もするが)。その中身は年老いたよぼよぼ気味のお爺ちゃんっぽいのを想像していたのだが……美少女だった! さすが手島御大、和月伸宏と同じ愚は犯さなかったか!(*3) フェネクスという語感から何となくフェネックギツネを連想していたのだが、正解は「フェニックス」。分かりやすいというか安直というか、もうちょっと捻れ――というのは「フェネックギツネを連想した」私が言えることではないな! ちなみに作者が「魔王内の男女構成比(ザガンが魔王になった時点)」というのをツイートしていたのだが、「数が合わんぞ」と思ったらフェネクスが女性だったのか(多分18巻発売後、私がそれを読み終えるまでのツイート)。
 いやしかし、白の燕尾服は絶望的にザガンには似合わんな(笑) 小説なのでどうしても頭の中のイメージはいつものローブに戻ってしまう。挿絵が少ないのも遠因? 最初のカラー口絵と最後にネフィに結婚指輪渡すシーンしかないからね。表紙もネフィ(ウェディングドレス姿)しかいないし。というわけで、話は19巻に続くらしいけど、19巻の表紙は2人の様子になるのかな?

*3 『るろうに剣心』の後半で、黒装束の男外印の中身がお爺ちゃんだったことにファンから抗議が殺到したという。曰く「顔を隠しているキャラクターは美形」というのが創作物におけるお約束だそうで……そんなん知らんがな。『キネマ版』(『るろ剣』のパラレルワールド版みたいなもの)では「はいはい美形にすりゃいいんだろ?」みたいな感じのヤケクソ感が溢れる美形キャラに変更され、一方で顔以外が実に残念なキャラに仕上がっていた。もちろん私はオリジナルの外印の方が味があって好き。

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 発刊順に行くと『魔奴愛』の前に『Re:ゼロ』の短編集なんだけど、そうすると『Re:ゼロ』シリーズが3冊になっちゃうので先に『魔奴愛』を読んだ。
 相変わらず小説となると読むのが遅い上にムラがあって、4ヵ月かけて4冊。しかしその後――この2、3週間で『くま』も『Re:ゼロ』短編集も『才女のお世話』も並行して進んでいて、『冬季限定ボンボンショコラ事件』も手が付いている。『ボンボンショコラ』が一番遠いが、もしかすると“次の4冊”が来月にお送りできるかもしれない。なお、今のところの新刊予定は6月の『Re:ゼロ』のみ。他はそんなにポンポン発刊されないことを考えると、次の更新をその4冊にしちゃうと『Re:ゼロ』38巻がしばらく宙ぶらりんになっちゃうかも。そういう機会に前に言っていた『ゆうえんち』に手を出してみてもいいかもしれないし、それから1冊読もうと思って全然進んでないやつもあるからそっちを片付けてみてもいいかな。

*0 よく同じ失敗をしてしょっちゅう同じ反省をしている。多分この反省も全くではないがあまり意味はない。

(2024.05.23)
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