クモニ83、クモユ141完成

4両のクモニ83とクモユ141、計5両が完成した
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  クモニ83(4両)とクモユ141の合計5両が完成した。元々は新潟の旧型国電の編成に繋げるつもりで、クモニ83とクモユ141各1両作るつもりだった。ところが荷物・郵便電車“単体”としても走らせたくなり、クモニ83が4両に大増殖することになった(笑) クモニ83はいつものグリーンマックス製のキット(昔からある古くて安い製品)。クモユ141はタヴァサホビーハウスのコンバージョンキットを使って制作。後述するが、GM製クモニ82(800番代)のキットから作ったほうが模型の編成としては整っていただろう。
  参考にした本は、『鉄道車両ガイド vol.23 クモニ83と仲間たち』、古いものになるが『Nテク完全マニュアル』、それからいつもの『ガイドブック 最盛期の国鉄車輌 2 戦後型旧性能電車』の3冊。『クモニ83と仲間たち』はその名の通り他の旧型荷物車、郵便車が載っていて、うっかりすると他の形式も作りたくなるという危険な書物(笑) 『Nテク〜』は昔買って一通りは読んだのだが、一番役に立ったのは今回。テクニック関連ではなく、たまたま作例が載っていたクモニ83の配管とかベンチレーターの配置を参考にさせてもらった。いつもはめっちゃお世話になる『最盛期の国鉄車輌』だが、今回は前2つが強すぎてちらっと読むに止まった。

今回最初に手を付けたところ
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  のっけから、であるが、今回一番のコダワリポイントとして挙げたいのがこちら。クモニ83は旧型国電ではあるが、改造されたのが新型国電登場後であり、車体も新型国電仕様となっている。GMキットにありがちなことであるが、乗務員扉が“旧国仕様”になっていて実車と異なる。タヴァサの部品に交換するのが定番なのだろうけど、私はエッチングパーツ故の彫りの浅さが気になり、この部位を自作することにした。ドアは0.3mm厚のプラ板から、両脇の手すりは0.3mmのプラ棒を使って表現。数が多い(1両6箇所、4両で合計24)こともあり、パソコンとプリンターで型紙を作って切削のガイドとした。それでもやっぱり個体差というか、やや寸法が乱れたのはご愛敬(ということにしてね)。この作戦の白眉は何といっても、プラ棒の手すりを別に塗っておくことで、手すりに綺麗な黄かん色が入ること。効果はご覧の通り……自己満足なだけかもしんないですが。そしてこの作戦の欠点は、手すりがオーバースケールになること。完璧を期するなら0.2mm真鍮線が良かったんだろうなあ。立体感は非常に気に入っているのだが。それとは別にダメなポイントは、ここまで拘っておきながらドアノブの表現を省いたこと。我ながらちぐはぐなことをしている(自省) こうして写真で見るとやっぱり間が抜けているので、そのうちなんとかしておきたい。

前面を見る(一番右はクモユ141)
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  GMのクモニ83キット(多分同社のクモニ82他も)の何がイケてないって、前面パーツのライト類が“寄り目”なこと。これを修正すべく、ライト類のモールドは削り取って銀河モデルのパーツに置き換えている。『Nテク完全マニュアル』によると、タヴァサのパーツの方が寸法はより優れているらしいのだが、残念ながら昨今の各種値上がりで該当するタヴァサのパーツは非常に高価になってしまい、キット本体の値段が安いだけに手が出しづらくなってしまった。というわけで、私は銀河モデルのパーツを採用。ライトと同時にその間にある手すりも移設することになるのだが、いつもだったらランナー引き伸ばし線を接着してお茶を濁すところ、一般的な工作技法であるエッチングパーツを試してみることにした。これには理由があって、塗り分けラインの際どいところにある手すりも別パーツ化し、塗装後の取り付けにしてマスキングの手間を減らそうという、これまた定番の工作を真似てみることにしたからだ。勢い方向幕両脇の手すりもエッチングパーツに。さらには方向幕もサイズがやや小さく見えたので、プラ板工作で一回り大きくしてみた。また、窓枠は四隅が角張っていて似ていないので、タヴァサのパーツに交換。車体中央下のステップも太かったのでやはりエッチングパーツに。以上、気が付けばこの前面は外形以外は原形を留めていないということになりました(笑)
  さて、この写真の一番右端はクモユ141。先述の通りタヴァサホビーハウスのコンバージョンキットで、前面はキットに付属しておらず、GMの「国電用前面パーツ集」のクモユ141用か、同じくGMのクモハ123キットの前面をユーザーが用意する必要がある。結論から言うと、私は後者を選択。前者パーツ集の方がいろいろ都合がいいことも多かったのだが、クモニ83同様ライトの位置がおかしく、そして銀河モデルのパーツのストックが尽きていた上に市場在庫もこの時発見できず、工作不可だったために消去法でクモハ123となった。クモハ123は設計が比較的新しいせいか、ライトの位置も造形も悪くなく、穴を開けてクリアパーツを塗装後に取り付けるだけで良しとしている。クモハ123で困ったことは、クモニ83と比べて車体幅が狭いこと。古いGMキットにありがちなことで、多分クモハ123が正確でクモニ83やクモユ141前面が太い。コンバージョンキットの説明書には、クモハ123の前面を使うなら屋根板は削って使えとあるのだが、面倒なのでやりたくない。クモハ123の前面なんだからクモハ123の屋根を使えばいいんじゃない? と思ったら、クモハ123の屋根は側板に比べて1、2ミリほど短い。これまたGMにありがちなことであり、今更驚くものでも悲しむことでも怒るべきでもない。私はコンバージョンキット付属の屋根に手を入れるより、クモハ123の屋根を延長した方が楽と考え、非パンタ側で足りない分に詰め物をすることにした。
  さて。左2両のクモニ83、塗り分けラインの高さが違うことに気付かれただろうか。一番左のクモニ83008は、登場時は横須賀色であり、湘南色に塗り替えられるときに横須賀色の塗り分け位置のままで塗られたため、他の湘南色と揃わなくなったらしい。

屋根を見る
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  屋根周りを見る。今回クモニ83は4両作ったのだが、3パターン作成してみた。2パンタ車(001)、2パンタ車として落成し、後にパンタグラフが1基撤去された車両(003)、元から1パンタ車として落成したもの(007と008の2両)。写真一番右はクモユ141で、旧型国電と新型国電ということで違う色を塗ってみた。クモユ141は冷房が搭載されており(郵便物を取り扱う関係上窓が開けられず、夏場の乗務員の勤務環境を考えてのことらしい)、ベンチレーターや換気ダクトと合わせて賑やかな屋根となっている。
  クモニ83のベンチレーターの配置は、先の『Nテク完全マニュアル』によると「GMの説明書は間違っている」とのこと(これもありがち)。じゃあ『Nテク〜』記載の寸法が正しいかというと、それも過信は禁物? 現物を見慣れているわけでもなく、ちょっとぐらいズレてても分かんないんだけどね。ということで『Nテク〜』の記述を重視した配置にしている。配管類は『Nテク〜』の他、カトー(800番代)やトミックス(大)の完成品も参考にしている。一番分からなかったのがホイッスル(カバー)の位置で、実車写真を見ると結構ばらばらな印象。新潟配置だから屋根上にあるはずなのに、写真の角度の問題か見当たらない車両も有った。ワケが分からなくなり、全車私のイメージする場所に取り付けてある。穴を開けたりはせずゴム系接着剤でイモ付けしてあるだけなので、いい資料が見つかったら付け直そうと思っている。その前に外れてしまいそうだが……。なお、パーツはカトーのAssyパーツを使っている。

先頭部アップ
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  先頭部のアップ。今まで「手すりの別パーツ化? オーバースケールやで」と言ってやらなかったのだが(一部の金属キットを除く)、今回やってみると案外馬鹿にできないなと痛感。その点ではいつもの私の制作物より立体的になったのだが、ワイパーはタヴァサの曲げる奴ではなくて銀河の平面的な物を採用。何故手を抜いたのかって? 5両合計で20個も曲げるのが嫌だったんだよ!(笑)
  パンタ周りで気合いを入れたのはランボード。(確か)101系キットの余り部品を使ったのだが、接着しただけだと屋根との一体感が出てこない(実物は“新型国電仕様”なので屋根と一体)。というわけで、主に中央方向の継ぎ目をパテで埋めておいた。クモユ141に関しては、どうやらクモハ123とパンタ位置が同じようだったので、キットのモールドをそのまま生かしている。先ほど書いた屋根の延長を非パンタ側で行った理由は、ランボードをそのまま使うためである。
  手すり以外で今回初めて手を入れてみたのが、パンタグラフ脚部への色差し。思ったより効果絶大で気に入っている。GMのパンタグラフはモールドがやや怪しくて、本来碍子がある部分があまり碍子っぽくないのだが、該当するはずの場所へ白を、そしてパンタ台となる部分にねずみ1号を塗ってみた。これは一旦完成した後に作業し直したのだが、それまで浮いた感じのしたパンタグラフが、色差しの後はしっかりと屋根に固定された感じがするようになった。え? 「それは言い過ぎだろ」って? いいんだよ、作った本人が自己満足してたらそれで(開き直り)。ちなみに碍子に関しては、同じGMでも旧製品の方が表現がしっかりしていたようである。

主抵抗器の色は?
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  二転三転の主抵抗器の色。やっぱり銀色はおかしいんじゃないか、ということで実車写真を探してじっくり検討。今回は明るいグレーで塗ってみることにした。選んだ塗料はガイアノーツの「ニュートラルグレーII」。見る人がどう感じるかは分からないが、とりあえず私としては悪いチョイスではないと思っている。なお、今までは抵抗器全体をグレー(ねずみ1号)や銀色で塗っていたが、今回は表面だけしている。
  ところで、側面窓のサッシの中段は、キットそのままだと太すぎるので少し削って細くしている。これでもまだホンモノに比べたらかなり太いのだが、やらないよりはマシだったんじゃないかな。

5両勢ぞろい
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  以上、久々の完成報告でした。その「久々」となった理由について、言い訳タイム開始。

(1)乗務員ドアの作業を終えて燃え尽きタイム
  1両6箇所、4両で24箇所。ドアの交換作業はいつもやっていることだが、今回違うのは交換するドアパーツも作ったこと。いつもだったらドアパーツは金属なので、下処理を終えてから接着する。他の全ての加工が終わった塗装直前にやるのだが、今回はプラスチックなので早い段階で接着した。自作パーツがキットの側板に収まっているのを見ると達成感が強く、続きの作業になかなか本腰が入らなかった。

(2)手すりの穴開け、一部の接着を終えて燃え尽きタイム
  手すり加工自体は初めてではないのだが、いつもやっているわけではないこともあり、一通りの穴開けをして塗装前に取り付ける手すりを接着し終えたら、ドアの時と同じく強度の達成感が(苦笑)

(3)クモユ141問題
  先ほども書いたように、GMのクモユ141前面が“使えない”、クモハ123の前面を使うと幅が狭くなってしまう。さあどうしよう、と悩み始めたら止まらない。クモユ141とクモニ82の800番代の窓配置がほぼ同じことを知り、エッチングキットを放棄してGM製クモニ82キット(製品名に入ってないけど800番代の車)の改造でクモユ141を、それも2両作る案が浮上した。しかし、それとてやっぱりライト問題が残るので実行できない……。そんなこんなを考えているうちに袋小路に入ってしまい、完全に手が止まってしまった。

(4)ライト点灯化問題。
  クモニ83はまだいいんだけど、クモユ141のライトをどうするのか。両側点灯かつ両側に個別にライトスイッチを組み込まなくてはならない。それだけだったら根性出せば何とでもなりそうだったんだけど、クモユ141は側板が金属板なので、絶縁をきっちりと考えておかないとショートしてしまう。タヴァサのエッチングキットには、床板の位置を決めるためのツメが内張に用意されている。いつもの通り今回も素直にキットの指示に従って曲げたのだが、これが悪手だった。そのツメの位置が、はっきり言って邪魔。作り始めた時にそこまで考えてなかった私が悪いのだが、後悔してももう遅い。床板と車体との電気的接点を車体中央部寄りに持って来ざるを得ず、そうするとウェイトに干渉するのでウェイトは半分に切断する必要がある。ライトスイッチの場所もじっくり考えないと配線がややこしいぞ……云々を考えているとまたまた手が止まってしまった。最終的に、いつまでも完成しないよりライトが点かなくても完成した方がいいと考え、今回はとりあえず全車ライト非点灯のまま完成させることになった。

  (1)、(2)はまだ軽微だったのだが、(3)、(4)が酷かった。(3)はクモニ82のキットを買って来てあれこれ検討したりして、「あーでもない、こーでもない」と悩む日々が続き、(4)については、9月下旬頃にライト工作を考えなければ塗装工程に移れたものを、そのまま1ヶ月間悩みあぐねることになった。何と言おうか、自縄自縛に陥っている気がする。タイムリーなことに、先月の鉄道模型雑誌に「苦行と思ったらそれはもう趣味ではありませんよ」と書いてる人がいた。今回の私の状況に対して正鵠を射た言葉である。但し、私はこの言葉が全くそうだとは思わない。苦しみの代償としてしか得られないものがある。楽しくてウキウキするような作業ばかりで模型が完成したら、それはそれで楽しいのだが、私は完成後の達成感のためであれば多少の苦行は厭わないし、趣味とはそういうものだと思っている。今回、ライト点灯化に関しては回避してしまったが、それ以外の部位については手抜きしていたら今の満足感はなかった。とは言え、一年の大半をたったの5両に費やすことになったのは問題だ。この辺の折り合いをどうつけていくのか、今後の課題である。

(2018.11.20)

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