モハ71制作秘話?

制作中のモハ71(左)とモハ70(右)

  よく秘話とかいうけど、喋っちゃったら“秘”話じゃないじゃん。
  というわけで本題。左が切り継いで作ったモハ71で、右はグリーンマックスのモハ70。完成するとそこまで差がないように見えるが、これだけ屋根が低くなっている。差が強調されるように撮影したからそう見えるだけかもしれないので、ここは私の撮影テクニックを褒めておいてください(笑) このモハ71は一番最初に作ったもので、今回の中では“一番素直に”作れた1両でもある。妻板は先日説明した通り201系のもので、ご覧のとおり貫通“扉”が表現されていない。実車の201系の貫通扉ってプラグドアだっけ???(だとしても筋ぐらい入れておいて欲しいところだが)

  モハ71の作り方を説明した時、「クハ76を2両切り継ぐ」という表現をした。最初のアイディアはそうなのだが、実際は少し違う工程を踏んだ。ニコイチでは効率が悪いので、やや手間はかかるが1両のクハ76から3両分の切り継ぎ素材を捻出した。
  ベースとなるクハ76の運転室部分を切断し、切り継ぎ用のクハ76から連結面側の車端部を持ってくるわけだが、この“車端部”は必ずしも車端部から持ってくる必要はない。クハ76(モハ70もだが)は車体全体に渡って窓の寸法と配置が揃っているため、ドアの両側で窓配置が対称に近い。だから本来の車端部以外にも、ドアを挟んで反対側、中央ドアの両側、最前部のドアの後ろ側の4枚の“車端部”として使える部品が取れるのだ。中央部から取って来た“車端部”部品を使うにはいくつかの工作が必要になるが、車端部は車端部で1枚窓がないのでその加工が必要になる。いずれにせよ何かしらの手間はかかるということである。まあ、中央部からの部品の方が面倒だが。
  要するに、1両のクハ76から切り継ぎ用の素材が5両分取れる。フルに作れば「2両から1両」ではなく「6両から5両」になるので、この手の改造としては経済性はいい方である。

今回の中間車改造は2通りの作り方をしている

  具体的に、中央部から取って来た場合にどう手間がかかるのか。GMキットの多くでは妻板との接合部が斜めに面取りしてある。部品の継ぎ目の処理を省けるようにそう設計したのだろう。ところが、中央部から部品を持ってくるとその面取りがないので、妻板との接合は一筋縄ではいかない。面取りすることも考えたのだが、角度を合わせつつ斜めに削るのは難しいので、妻板側を側板の厚み分削ることにした。この写真の左のような形になる。右は1両目に作ったもので、切り継ぎ用クハ76の本来の車端部を持ってきているためこうした加工は必要がない。
  床板の位置決めストッパーは、切り継ぎ素材のクハのどの部分から持ってくるかによって形状が異なってくるが、基本的に妻板に当たるところさえ削り取っておけば気にする必要はない(はず)。

“箱”にしたところ

  後は長さをチェックして必要ならば調整し、箱組に入る。普通の組み立てと違って継ぎ目が盛大に発生するので、パテ盛りなどをして平滑に仕上げる。この時に妻面のディティールは全て削り落とすことになる。元が201系の妻板なので削り落として構わないのだが、キャンバス押さえだけは残した方が楽。しかしながら難しかったので、結局それも一緒に削って後から付け直している。
  どうせ妻面にヤスリ掛けをする必要があるんだから、側板の長さは少し長めにしておいて継ぎ目消しと一緒に削ればいいんじゃない?と思って作業したのが3両目、写真の左の車両だ。側板が妻面よりも少し突き出ているのが見て取れると思う。結論から言うとこの方法はあまり良くなかった。箱組するときの妻板の固定位置で側板の長さが決まるわけで、つまり妻板接着時に位置がずれてしまうと車体長さに影響が出てしまう。そのくせ接着位置の目印がないので、仮止めしながら慎重に位置決めする……という面倒な作業をする羽目になってしまった。きちんと垂直も出さないといけない。側板の寸法を先に出しておけば、妻板は側板に合わせて接着固定すればいい話だったのだ。

車体を裏側から見る

  切り継ぎ用素材を中央部から持ってきた車両は写真上のようながっちりした接合部になり、車端部から持ってきた車両は下のような突き合わせになる。なお、どちらも反対側は下のように斜め同志の突き合わせだ。ここで少し問題があって、クハ76と201系で斜めの面取りの角度が少し違い、隙間が開いて接着面積があまり広く取れなかった。本来なら面で接着するところ、線で接着する感じ。1両目でその問題に気付き、2両目からは接着面積を稼ぐべくちょっとした補強を入れたのだが、接合面にも瞬間接着剤を流し込んでおいた。同じ方法でモハ70の初期車を作るとするともう少し対応が必要になりそう(車体角を丸める加工が入るので)。

1両目のモハ71(とりあえず箱になったので記念撮影したもの)

  車体に少なくとも一ヶ所は元「クハ76のトイレ部」が入るために窓を1つ新設しなくてはいけない。それ以外は、今回は作りたい車両とGMのキットのプロトタイプが同年度製造なこともあり、加工の必要がなくて楽だった。同じ方式で阪和線のモハ70や東海道山陽緩行線用の同120番台を作る場合はドア交換や戸袋窓をいじることになる。特にドアを交換するとなると、切り継ぎ部の接着面積が小さくなるので補強を考えた方が良さそうだ。

  構想段階では上手く行くかどうか不安だったのだが、特に大きな問題なく完成させることが出来た。一体ボディは嫌いなので今後はモハ70はこの方法で作ろうかと思っている。つまりクハ76の大量確保の必要があるわけで、ちょうど再生産があったのでそれなりの数を購入した。今回の制作に6両使ったのだが、その倍ぐらいを。それでも現在構想中の計画を完遂するとなると足りないんだけどね(笑) それはそうと、もし私が発注かけた通販店の人が注文内容に気を配っていたら、「何でこの人クハ76ばっかこんなにたくさん買うんだろう……」と疑問に思ったかもしれない(笑)

(2015.07.30)

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