第三次代用急電
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5月から制作に取り掛かっていた関西急電第三次代用編成が完成した。わざわざ言うまでもないとは思うが、いつもの通りNゲージである。実車について簡単に説明すると、第一次及び第二次とは違って、この第三次代用急電は他区から車両を借りて組成されている。その中でも特徴的なのは低屋根構造のモハ71だろう。初期に完成した車両には当初、モハ70の800番台が充てられていたが、歯車比が異なるためにモハ71に改称された。今回模型を制作した013〜015を含むグループは最初からモハ71として落成。最後の4両は初期型モハ70からの改造となっている。全21両が中央東線用として製造され、末期には全車が呉線に転属している。
関西急電は登場間もなくの頃を除き5両編成で、MT比は2:3が基本的だったようだ。しかしながら、第一次代用編成では3:2、そしてこの第三次代用編成でも3:2とM車の比率が高くなっている。本来の80系関西急電編成でも1編成だけ3:2のものがあったらしい。かつてマイクロエースが製品化した編成がそれだ(戸袋窓の形状が違っていたためにタイプモデルになっている)。ちなみに、私はその製品が発表〜発売された頃はそこまで詳しくなかったので、何故マイクロの製品がモハ3両を含んだものになっていたのか理解に苦しんでいた。
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ポイントとなる低屋根モハ71(手前) 奥は普通屋根のクハ76
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先述の通り、この編成におけるポイントは中間車モハ71。歯車比が異なるだけならば模型ではモハ70と同じ車両で構わないのだが、低屋根となっているのが大きな違い。これをどう再現するか。Nゲージ界でのモハ71の製品は(私が知る範囲では)3つある。マイクロエースの完成品、鉄道コレクションの完成品、タヴァサホビーハウスのコンバージョンキット。マイクロの完成品については多く語ることはないだろう。鉄コレに関しても同じ……だが、補足しておくと4両セットの中にモハ71は1両しか入っておらず以下略。そしてタヴァサのコンバージョンキットは、金属キット故にコストパフォーマンスがあまりよくなく……。
というあたりでモハ71は諦めていたのだが、ある日気付いた。ヒントはタヴァサのキットである。タヴァサのキットはモハ71単体ではなく「モハ70かモハ71が作れる」キットとして売られている。モハ70を作るときはグリーンマックス101系の屋根を、モハ71を作るときは同201系の屋根を使うように指示されている。
「グリーンマックスのモハ70の屋根を切除して、201系の屋根を載せたらモハ71になるんじゃない?」
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真横から見たところ(左モハ71、右クハ76)
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実は、グリーンマックスのモハ70はあまり好きではない。一体型ボディのせいか肉厚が他の車両よりあって、ただでさえ古さを感じさせる窓周りがさらにカッコ悪い気がするのだ。一体ボディは加工もしにくい。そういう悩みを持ちながら第二次代用急電を制作していてふと思い付いたのが
「一体ボディの加工が面倒なら、クハ76を2両切り継げば楽なんじゃない?」
モハ70に関しても使えるアイディアだったが、その時点で第二次代用急電のモハ70は2両とも加工を終えていたために今回が初採用となった。
既にモハ70は相当数のストックがあることもあり、切り継ぎ案のコストパフォーマンスが悪さは気になった。一応モハ70からの改造も試してみたのだが、加工の手間はクハ76切り継ぎ案と一長一短で大して変わらず。最終的には、仕上がりの統一感を考えて切り継ぎ案を採用することになった。さらに悩んだのが屋根の低さ。モハ71初期車であればこの高さでもいいのだが、006以降はさらにもう少し屋根が低いのだ。模型にすると微々たる差なのだが……この差に拘るのか、目を瞑るのか、かなり悩んだ。悩んだ結果、作業性を考えて妥協。完成してみるともう少し頑張った方が良かったかなと思わなくもないけど、まあこんなものでしょう。
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“普通”のモハ70と比較
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代用急電同士で屋根の具合を比較してみる。右は今年の初めの方で作った第二次代用編成のモハ70である。実車の製造時期の違いによる妻面の違いももちろん?再現してある。モハ71の妻板には屋根同様201系のものを加工して使用。ここで初めて知ったGM製201系の妻板の不思議。貫通扉は窓があるだけで周囲とがツライチになっている。頑張るなら貫通扉を一段凹ませた状態に作り直すところだが、今回は手抜き。扉に関しては窓の高さ及び木枠化だけの加工に止めた。
第二次代用編成の話であるが、最近になってミスに気が付いた。妻面に付いている通風孔、実は私は勘違いしてパンタ側にしか取り付けていない。もちろん?両側にあるのが正解のようだ。うーん、しまったなあ。まあ、パーツに色塗って接着するだけでいいから今からでも簡単に修正できるんだけどね。
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台車はDT17(左はDT16改造のなんちゃって、右は鉄コレ)
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先日侃侃諤諤本編にて「検討課題にしよう」と言っていたDT17型台車、結局気が向いたので加工することにした。DT20から枕ばねの部分を切り取って来てDT16に貼り付けるだけのお手軽加工を施したのが左。右は動力車で、鉄道コレクション動力ユニット付属の“きちんとした”DT17である。想像以上に見た目が違うので、やはりここはボナファイデのパーツを採用して鉄コレの台車枠で統一した方がいいかなあ。
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さて、ようやく先頭車の話に
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中間車ばかりをクローズアップしたが、先頭車は特に語ることも多くない。GM製品は奇数車しかないので、1両を偶数化改造したぐらいか。ここで実はとんでもないチョンボをやらかしたのだが、それはまた明日以降にお話しする。
呉線がらみの資料を探していて行きついた某サイトにて、クハ76の塗り分けラインの細かな違いに関しての記述を読んだ。それに影響されてその塗り分けラインを再現しようとしたら……この2両に関しては同じでなければいけないのに、微妙なところミスってしまった。毎度毎度どこかでいくつかのミスはするのだが、今回の一番の心残りはここである。
あと、旧横須賀色について。モリタの塗料を信用してそのまま塗っている。『とれいん』のいつぞやの号の作例では、モリタの色が汚くてマッハカラーを云々とあった。確かに新横須賀色と比べるとあまりにも地味な色だが、落ち着いていてこれはこれでカッコいいのでは……と私は思っている。『Nゲージハイパーモデリング2』に作例を載せていた方と同意見。天下?のマッハ模型の青2号がもう少し鮮やかなのは気になるところではあるが、カラー写真がほとんど残っていない、残っていたとしても褪色のせいで色見本としては信用に足るものか疑問が残る、そういう時代の色である。だからまあ、制作者(この場合私である)の好みでいいんじゃないかな。予想外に渋くてカッコいいので、今後時間に余裕が出来たらお遊びで113系にこの色を塗ってみようかなとか、旧色の横須賀線編成を作ってみたいとか考えている最中である。もちろん、113系で遊ぶなら関西急電色の編成も作りたいね。題して「復刻関西急電色」だ。
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第二次第三次の並び
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というわけで、急電色と旧横須賀色の代用編成を並べてみた。実車は同時期には存在していないので模型ならではの光景だ。ここまで来ると第一次代用編成も作っちゃおうかな?という気分になる。いやいや、本来の関西急電も作らなきゃね!
ここでようやく思い出したけど、ベンチレーターの配置はGM製モハ70やタヴァサのモハ70キットの説明書は間違っている気がする。図面をじーっと観察すると、敢えて等間隔にしないことで窓の位置とベンチレーターを“揃えて”いるように思える。GMクハ76の屋根の刻印や鉄コレの70系はほぼ図面通りだ。実車が100%完璧に図面通りに作られているかというと疑問の余地は残るが、今回は図面を重視した。70系の車両を真横から撮った写真がどこかにあればいいんだけどねえ。
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1枚目の写真の裏舞台
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完全な余談。1枚目の写真、背景の白いボードの裏にはこんなものが隠されていました(笑)
(2015.07.26)
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