OeBB「RailJet」の模型、メーカーはHobbyTrain
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オーストリア連邦鉄道OeBBの誇る?国際列車「RailJet」。日本で言うところの特急に近く、専用車両によって運行されている。欧州は日本と違って今もなお機関車が客車を牽引するスタイルが多く、RailJetもその形態をとっている。最後尾の客車には運転台を備え、機関車に押してもらう形での運行も可能(ペンデルツーク方式)。
模型はHobbyTrain製で、日本では主にホビーセンターカトーが輸入して流通に載せている模様。当初は去年の11月ぐらいに発売される予定だったはずだが、たっぷり半年以上遅れた。外国型ではよくある話。Aセットに制御客車を含む4両、Bセットに機関車を含む4両がセットされており、AとB両方を買うことでフル編成が組める。のはいいのだが、何故このような構成にしたのか理解に苦しむ。日本の鉄道模型の考え方であれば、予算走行スペースその他諸々の理由でフル編成が必要でないユーザーのために、基本セットに編成の根幹を成す車両を含めた上で実車より何両か少なくしたものを発売する。フル編成で楽しみたいユーザーには、別途増結セットもしくは単品車両を用意して対応する。今回のRailJetであれば、基本に機関車と制御客車、あと中間車を2両加えた4両で売り、増結セットとして残りの4両をセットしていただろう。HobbyTrainのセット構成では両方買わないと編成にならず、そうであればわざわざセットを2つに分けた意味が分からない。話が長くなるので、一旦ここで切って次へ。
機関車のパンタグラフが上がってないが、欧州型模型のそれはばね仕掛けである一方でストッパーがなく、ロックを外して上げようとすると可動範囲目一杯に上昇する。不恰好なのでとりあえずパンタグラフは上げずに撮影した。
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上の画像はかなりトリミングしたが、元は編成全部を入れて撮影していた
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最初の画像は機関車がアップになるようトリミングしたが、当初の意図は編成全体だった。上下に無駄が多かったので、そこをカットしたのがこちらの画像。流石に被写界深度が足りなくて三分の二ぐらいはボケボケである。
編成は機関車に客車7両。機関車はRh1116「Taurus」で、RailJetのために製造された車両ではないがRailJet専用塗装となっている。ドイツシーメンス社のインバーターを採用しており、発車時の音が「ド〜レミファソラシドレ〜」という具合に音階を奏でる。この模型は残念ながらそんな音は鳴らないが、Fleischmann製品にはサウンド付きモデルもある。なお、Rh1116型のノーマル塗装は赤一色。
セット構成の話の続き。一番困るのは販売店で、お客が”当然”セットAとセットBをセットで買うことを前提として同数を仕入れるはず。しかし万一、”変な”客が来て片一方だけ買っていったら? 残された一方をまたまた”変な”客が単独で買って行ってくれれば助かるが、高確率で在庫として残ってしまう。片方だけでは編成にならず、だからそれを客もおらず長期に渡る不良在庫化する可能性が高い。だからこれは、店は断固としてAとBのセット売りにすべきであろう。「独占禁止法」で禁止されている「抱き合わせ販売」? あれは確か、両者に密接な関係のあるもの同士のセット販売までは禁止していなかったはず。このセットAとセットBなら充分適用範囲外だろう。
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制御客車の運転室側
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SBB(スイス連邦鉄道)のIC2000やEW-IVの制御客車は、SBBの主力機関車Re460のデザインを模したものとなっている。RailJetの制御客車も同様に、Rh1116 Taurusのデザインそっくりに作られている。鋭い方はライトの位置がちょっと違うぞと気付かれるかもしれないが(さすがにこの画像では無理か……)、同じTaurusでもRh1216は中央のライトが窓上にある。これは私の勝手な想像だが、Rh1016、Rh1116と窓下にライトがあってRh1216で窓上に変更された。RailJet用の客車はRh1216登場後に作られたためにRh1216の形状を踏襲した。
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中間車の「RailJet」ロゴ
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元々OeBBはやや守備範囲外で、「RailJet」も模型が出るのは知っていたが特に興味がなかった。でも、動画サイトを見ているうちに……ね(何が「ね」だ!)。でもでも、模型の試作品をどこかで見て、窓部分の段差が大きくて「RailJet」のロゴが大きく切れているのを見た。ダサい。ダサいなら買わなきゃいいじゃない(お金が浮くし)。と思って買うつもりはなかった。しかしながら、いざ発売されてみると……窓ガラスパーツがかなり良くなってない? 実車写真もネットで探してよーく見たのだが、そもそも実車も完全にツライチというわけではない。わずかに段差がある。もちろん模型の方が段差が大きいのだが、これぐらいなら許容範囲。じゃ、買っちまうか……? という流れで、とうとう買ってしまったのだ。本来ならノーマル塗装のRh1016(Fleischmann製品)の方が先にうちにやってくる予定だったのに! で、ホビーセンターカトーの製品案内には「2編成繋げた列車も走っています」とのこと。そんなん言われたら2つ欲しくなるやん!!!(笑) しかし、私は2つ買わない理由を5つ挙げて1つで我慢することにした。
1:お金の問題
外国型であることも手伝って、高いのですよ。ま、捻出できないこともないけど……。
2:行きつけの店に在庫がAB1セットずつのみしかない
ま、他店行けば今ならあるだろうけど……。
3:来年になったら別編成が出るんじゃないの?
言い忘れていたが、今回発売されたのは「Spirit of Germany」という編成。実車には各編成にこういう名前が付いているらしく、既に海外では「Germany」以外に「Vienna」(ウィーン)、「Switzerland」(スイス)が発売されている模様(これが実車の全パターンなのかどうかは、調べたけど分からなかった)。翌年になって別バージョンが新製品として発売されるのはよくあるパターン。というわけで、2編成目が欲しければ待ってた方がいい。ま、小さく印刷されてるだけだからほとんど見えないんだけど……。
4:走行性能が不安
同社のIC2000の模型は走らせるととても不安定だった。RailJetもヤバいんじゃない? しかもRailJet2編成を繋げると、2両の動力車が離れた場所に位置するので模型ではかなり不利な条件になる。機関車先導ならまだしも、後押しにしたらカーブや勾配区間、そしてポイントレールを安定して通過できなくなる恐れがある。
5:16両も繋げたら車庫に入らないじゃないの
外国型車両は1両1両が日本型よりも長い。それを16両も繋いだら長すぎるよね?
と思ってたんだけど、実は新幹線よりナンボか長いだけなのでひょっとしたら許容範囲かもしれない。機関車は客車より短いしね。ということで実験してみた。
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編成長の比較実験
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実車は、RailJetがおそらく26.5メートル前後。新幹線は25メートルである(共に中間車)。鉄道模型は日本型と欧州型でスケールが違うことが多いのだが、新幹線は欧州型と同じ1/160。よって、実車に忠実にスケールダウンされていれば実車の車両長の違いがそのまま模型に現れる。実測してみたら約1センチRailJetの方が長くて、理論どおりということになる(あんまり厳密な計測ではない)。同じ8両での比較ということで、日本からは代表車としてN700系7000番台(「さくら」に使われる車両だ)に登場してもらった。 なおこの画像で
RailJetの「こめかみ」付近の黒いところに何か文字が入っているが、ここに「Spirit of Germany」と書かれている。
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さて、反対側は……
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N700系7000番台の片方をRailJetの制御客車と合わせて置くと、反対側はこのようになる。Taurusuの横から「白磁色」のN700系7000番台の鼻が突き出ているのが見える。つまり、(少なくとも模型では)新幹線8両の方がRailJet8両よりも長く、うちの線路は新幹線16両が余裕を持って停められるようになっているので、RailJetも2本繋げた16両が停められるということになる。何てこったい、5番の理由が消えちゃったじゃないか!
でもまあ、とりあえず1セットしか買わないけどね。
(2012.07.05)
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