クモハ12可部線仕様完成
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のぞみ工房のクモハ12を可部線仕様で組み立ててみた。はっきりした年月は覚えていないが、10年かあるいはそれ以上前に着手し、かなりの部分まで作業を進めたのだが、その後長らくに渡り放置していたもの。去年、10年越しに錦川鉄道NT3000形を完成させたのをきっかけに、こいつも完成させようと再奮起したのである。そう、背景にNT3000形が写っているのを見れば分かる通り、こちらも線路間隔16.5mmの俗称HOゲージである。さらに、「のぞみ工房」の文字が表す通り車体がペーパーで構成されている。橘雪翼初にしておそらく最後となるペーパー車体の車両である。
購入時から可部線仕様として組み立てる計画で、部品もその想定で揃えていた。当時の構想をそのまま受け継ぎ可部線仕様として完成させてある。可部線仕様以外にするとまた別に部品買って来なきゃいけないからね。車両ナンバーは031か032が該当するはずだが、当時に施したディティール工作は折衷となっている可能性が高く、インレタを調達する手間も考えて敢えてナンバーは入れていない。
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パンタグラフを始めとして、大きな部品は出来がいい
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部品を買って来た時から感動的だったのがパンタグラフ。Nと違ってバネで上昇しその姿勢が美しい。Nでもバネ仕掛けで上昇する欧州型のシングルアームパンタグラフがあるが、上がり過ぎて見た目はよろしくない。取り付けは1.2mm径のネジで別売りのガイシを通して屋根に固定する。Nだと筆で色差しするところ、こちらは組み立てるだけで実感的な色分けが完成してしまう。床下に目を向けても、床下機器は一体ではなく各機器ごとにばらばらになっていて、それぞれの実車の通りに並べて取り付けることができる。エアーホースもコック部分が左右それぞれ別に発売されていたり、ジャンパ栓受けも車体用床下用と……まあ挙げればキリがないぐらいパーツが揃っている。ある種至れり尽くせりなのだが、同時にこれはプレッシャーでもあった。
まず床下機器。どう並べればいいのか分からない。実車写真を参考にするしかないのだが、該当車両の両面から写した写真を探してこないといけない。斜めから写っていたりして奥の方の様子が分かりにくなったりすると反対側から写した写真も欲しくなる。写真を見てもパーツと形状が違ったりするとこれまた悩みの種。屋根上に目を移すと、パンタグラフの出来はいいが、それにふさわしい配管工作ができるのか? 特に今回悩んだのが鍵外し線。確かどこかのメーカーから20m級用旧国用の鍵外し線パーツセットが出ていたはず。「鍵外し線」だけで部品として成立するところが恐ろしい。それを買ってくることもちらっと考えたのだが、結構お値段する上に、それをすると空気作用管や避雷器の方も手が抜けなくなってしまう。そんなわけで開き直って「N」の延長上……いやそれ以上に手抜きで、とりあえず線が這ってあればいいだろう、レベルでしか仕上げていない。
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増設運転台側
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ちらっと調べてみたところ、クモハ12031、032はクモハ11を両運転台化したものらしく、ゴツい幌枠の付いているこちら側が増設運転台になるようだ。向かって左側がガイコツ形テールライトのままなのは確か031の特徴。元から運転台だった方は032を参考にディティーリングしたような雰囲気だった。ちなみに、ガイコツ形を除く3か所のテールライトはNゲージのヘッドライトパーツを使っている。HOゲージ用のパーツも買ったのだが、取り付け部位裏側の補強材と干渉し上手く取り付けられなかったので、Nゲージのパーツを流用することを思い付いたのだ。今回考えたわけではなく10年前のアイディアであり、ちょっと無理があるだろうな……と思いつつそのまま組み立てたら、やっぱり一回り大きかった。軌道修正もちょっと難しかったので、しょうがないと割り切っている。
冒頭付近で「おそらく最後となる」と書いたのは、パーツの精密さに腰が引けたわけではない(それも多少あるが)。これまでプラスチックや真鍮のキットをいくつも組み立てて来た。それらの場合、塗装前に車体を洗浄する。プラスチックの場合離型剤が残っていた場合に塗料を弾く可能性がある。組み立て工程中に削りカスや手の油脂分が付着している場合がほとんどで、これまた塗装の失敗の原因になり得る。金属車体や金属パーツはマッハ模型の「ブラスクリーン」という液体に付けて表面の酸化膜?を落としてきた。ではペーパー車体の場合はどうだろうか。やはりサンドペーパーでの仕上げを行っているし、手でベタベタ触っている。金属パーツも少なからず使った。でも洗うことはできない。当然だ。水につけたら紙が水分を吸ってせっかく組み立てたものが台無しになってしまう。この問題をペーパーモデラーは如何に対処しているのか? 残念ながら知り合いにペーパー車体を塗装して組み立てたモデラーはおらず、他に手段もないので私はそのまま塗装を強行することにした。結果普通に色が塗れたわけだが……気分的にはあまり落ち着かなかった。他、意外に紙は穴開けがしにくかったり、木製の床板の取り扱いも不慣れが故にめんどくさかったり。あと、車体キットそのものは確か5000円ほどでこのサイズとしてはリーズナブルなのだが、部品を揃えて行くとやっぱり一人前の値段になってしまう。主軸のNゲージで作りたい車両もまだまだあるわけだし、あまり寄り道している場合でもないかな、と。今後翻意する可能性はあるが、現時点では「ペーパー車体はこれが最初で最後」にするつもりである。
(2021.07.12)
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