グリーンマックス80系一次車一体型キット6両編成
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去年再生産されたグリーンマックスの80系一次車。かつては板キット形式で発売されていたものだが、塗装済みキット発売に際して板キットが廃版?になったようで、未塗装版も一体型キットに改められた。各種加工は板キットの方がやりやすいのだが、現在となっては入手困難な製品になってしまった。手に入らないものは仕方がないので、一体型キットの組み心地に慣れておこう……ということで、細かいことには拘らず、比較的ストレートにキットの6両編成を素直に作ってみた。とは言え、気になる部分には手を入れるなどしているうちに時間はいつも通り掛かってしまい、クオリティだけ低いものができるという締まらない結果になってしまった。
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よせばいいのに作ってしまったクハ86015
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以前にも作ったことのある湘南色の80系だが、その時は末期をイメージして制作。今回は、関西で快速として走っていた姿を念頭に作ったのだが、調べているとクハ86015も関西に来ていた時期があったらしい。クハ86015というのは、事故で大破して修繕される際に、試しにと153系同様のパノラミックウィンドウ仕様になった車両である。3枚窓の旧型国電に新性能電車スタイルの窓が組み合わさった何とも言えない独特のスタイルをしている。当初のコンセプトで言えばこんな手間のかかる車両に手を出すのは飛んで火に入るが如くなのだが、3枚窓のクハ86を2両そのまま作るのは面白くないと挑戦することにしてしまった。なお、一体型キット(のダメなところ)は3枚窓クハと2枚窓クハが1両ずつ入っているのだが、考えがあって2箱開けてクハを交換し、両先頭車を3枚窓クハにしている。以下、クハ86015制作時に使ったパーツやポイントを。
〔パノラミックウィンドウ〕 手持ちの構想外となったグリーンマックスの155系キットから流用。細かな寸法が違うらしく、やや強引なはめ込みになったが、細かいことを言い出すとぴったりのパーツはおそらくないのでこれで我慢。裏側にモールドされていたデフロスターは削ってコンパウンドで磨き直した。ワイパーも同じようにして別付け部品に出来れば良かったのだが、Hゴムを犠牲にせずに削り取る自信がなかったためそのままにしてある。なお、うっかり車体側にワイパー取付穴を開けてしまったのを塗装後に気付き、塗料で埋めるという強引な手法に出たが、やはり綺麗には埋められなかった。
〔ヘッドライト〕
タヴァサホビーハウスの「PN041-1 旧国250W埋込型前照灯(戦前型半流用A)」を使用。実車は未更新の100Wタイプのような気もするが、部品がないのでこれにしている。左の更新車と比べるとライト径が一回り小さいので、十分それらしく見える。タヴァサホビーハウスの「PN044-1 旧国100W埋込型前照灯A(戦前型用)」を使用。
今回はライト点灯化はしていないのだが、将来気が向いたときのために穴を開けて導光材が組み込めるようにしてある。
・使用したパーツを勘違いしていたため、訂正しました。(2020.05.12)
〔運行表示機〕 ザ・自作パーツ。塗り分けの邪魔になるのでと別パーツにして塗装後の接着。いざ取り付けてみると天地寸法が0.3mmほど大きかった。別パーツなので、次回に湘南色の何かを作るときに作り直してみてもいいかもしれない。
〔その他〕 前面ステップが追加されているので、それっぽい部品を過去に使った何かしらのパーツセットの余りからチョイス(クモニ83の時のものか?)。ウィンドウシル、ヘッダーが前面を中心になくなっているので削り取るのだが、その前に一仕事入れておいた。窓上部、下部がR形状なのに対し、窓部分のみ(おそらく)平面で構成されているため、形状差に起因する段差がある。それを再現するために、シル、ヘッダーを削る前に窓部分をやすり掛けして平面を出しておいた(キットそのままの状態では、窓部も同様のRを描いている)。他、側面の縦樋が埋め込まれているので削り取り、昇降ステップを作り直し。前面の手すり類はエッチングパーツを使ったが、側面は頑なに別体化しないのが橘雪翼流である。
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ドアはパーツ代をケチって削り込みで対処
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GM旧国キットの大半で気に入らないドア窓のHゴムの表現。いつもならエッチングパーツに交換するところ、今回は試しにスジ彫りとやすり掛けで対処してみた。まずキットのHゴム表現の外側をケガキ針で彫り込み、次にやすりでツライチに削る。Hゴム部分が太めになるので、少し削り込んで完成。右がキットそのまま(前回制作)、左が今回の物である。一個一個は上手く行ったと思うのだが、全体で見ると最後の「削り込み」によるHゴムの太さが均一にならず、素直にエッチングパーツに交換した方がまとまった仕上がりになったのではないかと。手間と時間はかかったものの作業自体は楽しめたので、仕上がりさえ良ければ次回以降も採用の手法だったのだが……。
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パンタ周りも手抜きで最小限
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今回は更新車の制作だったのと、手間を省きたかったのでパンタ周りはほぼキットのままである。ランボードの長さだけは気になったので、台座を削り取り、自作パーツ(プラ板と101系用のランボードの組み合わせ)に置き換え。その際母線の長さが足りなくなるので、0.5mmのプラ棒を使って延長してみた。避雷器はカトーのAssyパーツで、旧型と新型の2種類を使って車両ごとに差異を付けてみた。写真はうっかり先ほどのと逆にしてしまったが、今回の制作分が右だ。左のキットそのままと比べてほとんど違いがないのを見て頂ければ。
以下、愚痴がてら。
一体キットになって、床板の位置を決めるのが窓ガラスパーツになった。そして何故か、板キット時代よりも車高が0.5mmほど高くなっている。この差は我慢がならないので、付属の窓ガラスパーツを放棄して自分で床板止めを作り、板キット時代と揃うようにした。窓ガラスの表現には塩ビ板を使っているが、冷静に考えるとキット付属の窓ガラスパーツの、床板止めの部分だけ削って使えば良かったんじゃないかな……?
今回完全に見落としだったのが、クハの最前部のベンチレーター。キットそのままだと背の低い箱型を使う設計になっているのだが、更新車は車両によって箱型に置き換わったものと、元々のU字型そのままのと両方があったらしい。クハ86015は箱型に置換されていたようだが、もう一両のクハ86020(ナンバーは高槻にいたことがあったらしい車両から適当にチョイス)がどうだったかは調べておらず、ひょっとしたらダウトかもしれない。板キット時代であれば後からどうにでもなるのだが、一体キットになって屋根にベンチレーター設置ガイドが付くようになり、キットの仕様と違うものが作りたければ塗装前に作業しておかなければいけない。
キットを開封して真っ先に行った作業が、屋根の調整。板キット時代から結構怪しかったのだが、屋根と車体の合いが悪く、何もせずに取り付けるとこれまたゼロコンマ数ミリ屋根高さが高くなってしまう。新潟色にサハ87を組み込んだ時も削り込んで屋根高さを合わせたのだが、今回は当然6両全車に対してこの作業を行った。削る作業自体は苦ではないのだが、削りカスが盛大に出るのがうっとおしい。
いつもは台車間隔をスケール通りの90mmに短縮する加工を行うのだが、
(1)カプラーアームの長さが足りなくなって延長加工が必要になる
(2)一体キットの床板は2ピース構成で、短縮加工に新しいルーティンが必要
この2点を面倒に思ったので省略。短縮するのは1.5mm程度で、効果が薄いのも理由の一つ。ボディマウントタイプのTNカプラーを付ければ(1)の加工は不要なのだが、手元にいくつか残っている鉄道コレクション用動力ユニットのTM-09(ボディマウントタイプのTNカプラーの取り付けが極めて困難)を使ってしまいたいという理由で却下。なお、TM-09採用編成は中間部カプラーをカトーカプラーに交換しているのだが、今回ストックのパーツが行方不明だったので一旦アーノルドカプラーのまま完成としている。前回の42系のときに開けた新品パックの残りをどこへ仕舞ってしまったのか……。
ベンチレーターについて。空気の取り込み口のところを、今回はダークグレー(GM35番)で塗り分けてみた(本体はねずみ1号)。阪急キットのクーラーはクレオスのジャーマングレーを使って塗り分けたが、80系の場合は実車写真を見ると色(汚れ具合?)がまちまちで、本体と同じねずみ1号でいいのではないかというものもあればジャーマングレーが適してそうなものもあった。そんなわけで“間を取って”ダークグレーにしてみたのだが……これでいいような気もするし、もっと黒くした方が「らしい」気もするし。迷う。
今回大きなミスと言えるのが塗装。下地作りがまずかったのか、やたらぽろぽろ剥げて修正が大変だった。1両ちょっと酷いのがあって、次に編成増強する際(二次車っぽいのや100番代っぽい車両、それから300番代が作りたい)、その車両はお蔵入りしてしまうかもしれない。以前からよくあることだが、インレタでナンバー貼りをしているときにも塗料が剥がれた。この辺については一度ちょっと真剣に取り組まないといけない。
インレタと言えば、新インレタになって旧インレタより格段に貼りやすくなったGMの「車両マーク」。それでも封を開けてしばらくするとくっ付きにくくなり、今回もナンバー拾いで苦労した。それで試してみたのが、以前どこかで読んだ「インレタをドライヤーで温めると付きやすくなる」。定番のテクらしいが、私がやってみるのは今回が初。目から鱗レベルですんなり貼れたので、もっと早くから試しておけば良かった。次回からもこの技に頼ろうと思う。
(2020.05.05)
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