セミの羽化
フィルム写真を掘り起こす その30
セミの羽化

 「夏と言えば?」――いろいろ回答はあるかと思う。昨今であれば「猛暑」がトップに来るかもしれない。暑さゆえに「かき氷」や「水泳」などの納涼系も多いだろう。スイカが好きな人もいるだろうし、お盆とか終戦記念日とかいろいろ出てくると思う。私が夏だなあと感じるのは「セミ」。毎年飽きもせず地中からたくさん出てきてミンミンミンミンミンミンミンミンとうるさい。うるさいだけならまだマシなのだが、時々家の中に入って来て暴れたり、外を歩いていると急に飛び出したりとなかなか厄介な虫である。さて、そんなセミが羽化している現場に出会ったのは、メモによるとちょうど20年前の夏だった。
 場所は実家の門で、外出先から帰って来たときに発見したような記憶がある。その時点ではまだ羽根が伸びきっておらず、少し時間を置いてからカメラと三脚を手に様子を見に行った。用意したのはOM-4Tiで、いつもの3TiでないのはTTLオートを使いたかったからだと思う。最初はフラッシュを焚いたが、観察するとほとんど動きがなかったので、その後は門灯の明かりだけで撮影した。ここでお見せしているのは後者である。
 この時は、今後もまた羽化の様子を撮影するチャンスがあるだろう、と思っていた。しかし、20年経った今でもこの一度きりのままである。おそらく、普通のセミはもっと遅い時間に地中から出てくるのだろう。この個体はうっかりさんで、間違って早い時間に出て来て私に見つかった、と。本気出すなら深夜の1時とか2時とかに家の外に出て探してみればいいのだが、そこまでして撮りたいわけでもないからね。

(2025.08.24)
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