【七つの大罪】 約1年間楽しませてもらった『七つの大罪』もついに完結。魔神王を討つところも最終話も完結に相応しかった……のだが、その間の混沌云々に蛇足感があったような? マーリンの過去にアーサーやホークママに秘められた真実、そういったあたりが残ってしまったので雑に処理した、という印象がどうしても拭えない。この時点でエスカノールが消滅しちゃって七つの大罪が揃ってないのもなあ……ああ、そうか、マーリン云々があるから、それを知る前にエスカノールを退場させたのかもしれない。
というわけで最後にちょっと難を付けたが、トータルでは良かった。『鋼の錬金術師』の時にも言ったかもだが、やはりこれだけ愛されている作品はそれだけのことはある。そうは言ってもどうしても合う、合わないはあるんだけどね。
【追放されるたびにスキルを手に入れた俺が、100の異世界で2周目無双】 ティアがエドを追ってくる展開は多少可能性として考えてはいたが、このタイミングは反則が過ぎるというもの。作者はもう少し読む人間の涙腺の弱さを考慮に入れて話を作るべきだろう――思わず泣いてしまっただろ!
前半はエドが魔王軍を掃討する話。後半は、魔王を倒し平和となった世界でティアがエドを探し、辿り着くまでの顛末。後半がちょっと長すぎる。ティアがエドの前に姿を現すのは単行本の中ほどなのだが、その後にティアがどうやってここまで来たかの話が綴られる。従ってその間ずっと残りページが気になって仕方がなかった。この4巻でキリのいいところまで進めるのか、それとも「次巻に続く」なのか。後者だったらブチ切れ案件だったが、流石にそこまで作者の性格が悪くなくて安心したよ。
【黙示録の四騎士】 『七つの大罪』の続編。正直なところ「『七つの大罪』の続きだから」と手放しで褒めるところまでは行かないのだが、そもそもの『七つの大罪』が最初からそこまで期待していたわけではない。本作も『七つの大罪』のように、話が進むうちにどんどんと面白くなることを願っておこう。
【サネカの嫁入り】 「ジャンプ+」で連載が始まったラブコメ。祖父道久の遺産相続で家を手に入れた島崎竜彦(多分高校生ぐらい)が主人公(相続税? 知るかンなもん。何でもかんでも現実に即すりゃいいってもんじゃないぞ)。家の様子を見に来た竜彦は、守り神のサネカと出会い……最初は竜彦を追い返す気満々だったサネカだが、なんやかんやで受け入れる雰囲気になったところで土地の神々の悪戯?手違い?で2人は結婚することになってしまった。
基本ハートフル路線のゆったりした物語? サネカ以外にも神様が登場するが、サネカは元タヌキ、ナラはリス、終盤登場するのは犬神……と言った具合に動物がベース。つまりモフモフしていて可愛い。最後の犬神のところでは不穏な空気が流れる。アプリで読んでいて「次の話次第で続きを読む読まないかが決まるな……」と分岐点に立った。こうして単行本を買ったということは、つまりそういうことである。
【廻天のアルバス】 勇者アルバスが魔王を倒す話――これだけだとありきたりすぎるので、もちろん本作ならではの“味付け”がある。アルバスは魔王に敗れては「旅立ちの日」に戻り、魔王討伐の旅を何度もやり直しをしている。某ゼロから始める異世界転生モノの作品にちょっと似ているが、そういえば主人公の名前も似ている。「アルバス」と「スバル」。これだけクリソツだとうっかり間違えることもありそうだなあ(棒読み)。
さて、アルバスは「魔王に敗れては戻る」をただ繰り返しているだけではない。魔王討伐に成功したこともあるという。でもそのに至るまでに時間を掛けすぎたせいで守れなかったものがある。アスバルはベストを追求するため、魔王を倒してなおやり直しを繰り返す。効率を追求し、時には嘘を吐き、死んだ目をしながら――それは(1巻では)たった一人のパーティーメンバー、フィオナを守るために。
とにかくまあ勇者らしくない勇者。覇気はないし心の内を見せようとしないし、何だコイツはどうして主人公がこんなやつなんだ。そう思わせておいて1巻のラストで種明かし。これ、1〜2話だけ読んで読むのを辞める人がいそうなんだけど、ちょっと勿体ない。1巻丸々が物語の導入と言って良さそうなので、作者・出版社は1巻丸ごと試し読みできるようにしておくべきだろう。
【まおゆう魔王勇者】 「Kindleで特価だったので調子に乗って買いまくった漫画」の1つ。魔王(美女)を倒しに来た勇者だが、魔王は勇者を欲する。決して恋したとか惚れたとかじゃなくて(そういうのが全くないわけでもなさそうだが)、そもそもこの世界の戦争が必要悪みたいな感じになっていて――えっとゴメン、理系ガッツリな橘雪翼には説明が難しい。まあ要するに政治的なアレだ。魔族と人間が戦争した方が戦争しなかった場合に比べて世界情勢がマシ。戦死者とかには目を瞑って仕方なく戦争してる、みたいな。でもそれは次善策であって理想とは程遠いので、魔王は何とかしたい。そのために勇者の力が欲しいから協力してくれ、みたいな感じで話がスタートする。冒頭数ページだけで買うの決めたので正直こんなに真面目なストーリーだとは思ってもみなかった。最近よくあるお気楽コメディを想定していた。面食らったが、つまらないというわけではない。「Kindleで特価だったので調子に乗って買いまくった漫画」シリーズはいずれも全巻まとめて買ったので「安かったからいいようなもんの面白くなかったらどうしよう」という不安を抱えているのだが、まずは巻数多めな本作が外れじゃなさそうなので一安心(最終的な評価がどうなるかは分からないが)。
*1 ちなみに一番巻数が多かったのは既に読み始めている『4P田中くん』全51巻、次点で『天のプラタナス』28巻。『まおゆう』は第三番目であるが、上二つは同作者の別作品を読んだことがある言わば安全牌。巻数だけで言うと一番の不安要素が『まおゆう』だった。
―――――
今年のGW枠は、半端となる『七つの大罪』の残り2冊とその続編、既刊追っ掛け中に新刊が出た『2周目無双』、新作の『サネカの嫁入り』(4月に1巻発売)、新顔の『廻天のアルバス』、そして「Kindle特価シリーズ」から『まおゆう』2冊という6作品8冊だ。
5月分以降も登場するのは3つ。まず『七つの大罪』続編の『黙示録の四騎士』は現在20冊ぐらい出ている。ちんたら追っ掛けていると最新刊到達までが遅くなるので、月3冊ペースで読むことにする。『アルバス』は比較的最近始まった作品で、夏に最新刊に追い付く予定。『まおゆう』は完結作品で全18巻。GW枠に加えて5月分も2冊読む予定で、以降月2冊ずつ読むと年内にきっちり完結するという寸法だ。
『七つの大罪』はこれにて完結。残る2つは今後“新刊戦力”となる。3月4月で読むのを辞めた作品が3つあるが、今回の新戦力2つと6月に1巻が発売される某の続編できっちり埋め合わせ。計画通り……ではなくただの偶然である。
(2025.05.08)
|