エイプリルフール詰将棋の解答
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エイプリルフール企画の詰将棋
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先週、4月1日にエイプリルフール企画として出題した詰将棋(のつもり)の解答編をお送りする。きっちり検証したつもりだが、思い込みで勘違いとかがあって問題として成立していなかったらごめんなさい。
▲1二歩
△同玉
▲2三金
△同歩
▲同歩成
△1一玉
▲2二と
△同玉
▲2三歩
△1一玉
▲1二歩
△同玉
▲3二龍
△1一玉
▲2二龍(または歩成)
まで十五手詰め
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詰め上がり図
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初手は考えることないはず。他に王手できないので金か歩を打つしかない。ここでわざわざ金を打って捨てる意味がないので歩だ。△同玉も唯一の選択肢なので、次の三手目からが本番。▲2三歩成か▲2三金。持ち駒の金をいきなり投入するのが躊躇われて▲2三歩成から考える? △同歩に▲3二龍と入り、桂馬があれば△2二合駒に▲2四桂から詰むのだが、その桂馬が持ち駒にない。▲2三金が正解だ。ここで玉方の応手が2つ考えられて、ここがこの問題の分かれ目となる。
実戦心理では取れる金を取ってしまう△2三同歩。この後はほぼ並べ詰と言っていい手順が続く。▲同歩成、△1一玉に▲1二歩は打ち歩詰で打てない。一旦▲2二とと捨ててから▲2三歩と打ち直し、△1一玉に▲1二歩と吊り上げてから▲3二龍……難しいところはないはずだ。
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四手目1一玉の後は……
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さて、先ほどの岐路である▲2三金への応手だ。もう一つ△1一玉が考えられる。ここから……
▲2二金(五手目)
△同玉
▲2三歩成
△1一玉
▲2二と
△同玉
▲2三歩
△1一玉
▲1二歩
△同玉
▲3二龍
△1一玉
▲2二龍(または歩成)
まで十七手詰め
▲2三金に△同歩より△1一玉の方が二手長く掛かるのでこれが正解!
……と思った方は私の術中にハマったことになる。この手順には罠が潜んでいる。先ほどの「打ち歩詰め」がヒントだ。
▲2二金(五手目)
△同玉
のところで例の“アレ”があるのだ。
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定番のアレ
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▲2三歩不成(写真;七手目)
△1一玉
▲1二歩
△同玉
▲3二龍
△1一玉
▲2二龍(または歩成)まで十三手
四手目△1一玉とすると、七手目▲2三歩不成とするこの手順で十三手で詰む。従って十五手掛かる△同歩が玉方の最適な応手となり、詰め将棋としての正解はそちらになる。
一応詰将棋を作る側のルール?マナー?として余詰めがないようにしないといけないらしいんだけど、さっきの十七手詰めは変化手順だから問題なし……と私は解釈している。打ち歩詰め回避の不成は良くあるけど、それが変化手順に出てきて、しかも不成じゃなくても詰む手順がある。不成で詰ませると歩が一枚余るが、▲2三歩成から詰ませると持ち駒が余らず、本手順より長い手数で詰むのでうっかりするとこちらが正解だと思ってしまう……という意地悪この上ない仕掛けにより本題を「橘雪翼作史上最も難しい」と表現させてもらった。
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プロトタイプ
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この問題には原形がある。盤上は全く同じで、持ち駒が違う。こちらは打ち歩詰め回避の▲2三歩不成が正解手順に入るオーソドックスな十一手詰めだ。この問題をベースに、持ち駒を変えたらどうなるだろう?とやっていたら先ほどの意地の悪い問題が誕生したのである。
(2025.04.10)
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