2025年1月半ば〜2月頭に読んだ小説
昨日『くま クマ 熊 ベアー』21巻が発売されて……流石にまだ途中です。なのに小説感想文を更新するということは、つまりそういうことである。
【婚約破棄された令嬢を拾った俺が、イケナイことを教え込む
〜美味しいものを食べさせておしゃれをさせて、世界一幸せな少女にプロ デュース!〜4】
作者ツイッターでちらっと聞いてたのと違う展開のような気がするが……あやふやな記憶だし気にせず行くか。
いよいよ(?)シャーロットとの“結婚”の話になる。結婚に必要な物。そう! それは結婚指輪! 何かどこぞの奴隷エルフを嫁にした魔王の話にも指輪出て来たなあ。その指輪を作るということで、岩人族のメーガスの“妹”が新登場する。という辺りから4巻は岩人族の掘り下げに入る。ひと悶着あって最後はアレンが何とかして一件落着、と一言にするとそういう感じの良くある展開。これはこれで話が進んでいるものの、やはり私の正直なところとしては3巻ラストのあの話の方が気になって……あれをまともにやろうとすると本作にそぐわないぐらいのシリアスストーリーになるから避けた? けどアレン本人も義父に思うところアリな描写だし、なんつったって主人公に隠された過去の出来事なんだから遠くないうちにしっかりとやってほしい。3巻から4巻は間が随分空いたようなので、早めに頼むよ!
キャンプ地の温泉ではお約束のようなイベント(トラブル?)が発生する。風呂に浸かりに来たアレンが、中にシャーロットがいると思わず入ってしまうという創作の中ではよくある一幕。多くの作品ではこの後主人公がフルボッコにされて湯船に死体(笑)が浮かぶことになるのだが、本作の場合シャーロットは完全にアレンに気を許しているのでそうはならない。アレンが完璧な土下座で慰謝料の交渉に入るのだが……アレンの全財産ってどれぐらいなんだろう? さっき言及した某魔王候補(当時)は一目惚れした少女に全財産を投げ打っていたが……。
【烏百花 蛍の章】
外伝と銘打たれた短編集。本作は本編がああいう感じだから、こういうショートストーリーを読むとほっとする。ところで疑問点が。『ふゆきにおもう』は雪哉と雪雉がまだ幼いころの話。迷子になった2人を保護したのは間違いなく日嗣の御子奈月彦のはずだが、はて奈月彦って確かその頃外遊していたような……。時々戻って来ては結界の綻びを直していたのだろうか?
作者によると『ゆきやのせみ』は本著の中で「かなり重要な役割を担ってくれている」そうだが、そこんところはちょっとよく分からなかった。半面多くの読者が感じるような異質さも感じなかったし……これはもしかして私が鈍感ってことなんだろうか。しかしまあ、夜、雨降る中、山で腹を空かせての奈月彦と雪哉の会話は松崎さん画で脳内再生余裕でした! いつか漫画として実際に描かれる日を楽しみにしていよう。
【楽園の烏】
『八咫烏』シリーズ第二部は、再び現代日本からスタートする。山を相続した安原はじめ視点で描写されるン十年後山内の姿だ。「楽園」という単語は実際に作中にも出てくるのだが、もしはじめが本作にタイトルを付ける立場であれば皮肉たっぷりに同じ『楽園の烏』としていただろう。
百官の長「博陸候」となった雪哉は雪斎と名乗り独裁政権を築く。すべては着実に滅びの日へ向かう山内を救うため。はじめはそんな博陸候雪斎に訝し気な視線を送る。このシリーズ、第一部では概ね雪哉が主人公だったから肩入れしてしまうせいかもしれないけど、はじめには現代日本人の“平和ボケ”した部分を感じてしまう。故郷が滅びに瀕しているという事実を突き付けられ、生き延びるために足掻くのであれば、汚いと言われようが何だろうがこういうやり方にならざるを得ない部分がある。手段を選んだり綺麗事を言う猶予はない。滅亡は明日唐突に訪れてもおかしくないのだから。
相変わらずあっと驚く仕掛けが用意されているのがミステリーっぽい。今巻の主役とも言えるはじめは朔王の“子ども”で、制度上「朔」が人名に使えなかったので平仮名になったという(調べてみると、現実の現代日本では使ってもいい漢字みたいだが?)。第一部の人物を上手く絡めて、因縁めいたものも感じさせている。しかしあれだ、作家というのはどの程度まで先のことを考えて伏線を仕込んであるのだろう。
いくらはじめが朔王に“育てられた”からと言って、重ねた年月と環境の厳しさから言えば雪哉の方が上手(うわて)? 加えて山内は雪哉のホームグラウンド。はじめは軽率にも?頼斗に「一緒に来るか?」と誘ってしまうが、これも雪哉の計算のうちか。尤もはじめが頼斗の懐柔に成功する可能性もあり、このベット(賭け)はどちらに勝利をもたらすか。
【烏百花 白百合の章】
シリーズはここで再び外伝(短編集)が挟まる。本作は本編がああいう感じだから、こういうショートストーリーを読むとほっとする(2回目)……って書こうとしたんだけど、『白百合』は1話目からして茂さん(『玉依姫』及び『弥栄』で落命)の話だし、大紫の御前の過去の物語もあるしで、そこまでほっとするような話ばかりでもなく。ところで、漫画版『主』冒頭の市柳と雪哉のエピソードは『ふゆのことら』で書かれていたのね。漫画版オリジナルだと思っていた。漫画版『単』の特装版に収録されていた『あきのあやぎぬ』もここに収録されており、“三度”顕彦くんを見ることになった。
『きんかんをにる』で雪哉は姫宮に「金柑はお嫌い?」と聞かれる。ここ、『Re:ゼロ』のテレシアを連想したのだが……テレシアのセリフは「花は好き?」だった。「嫌い?」と「好き?」では真逆じゃん。ヒロインが主人公に迫ってる構図がそっくりなんだがなあ(※全然別物です)。
『ちはやのだんまり』は千早のセリフによって締められる。「貴様に義兄と呼ばれる筋合いはない」というベタなものだが、その展開とこのシリーズでというあたりでクスリと笑えるオチだった。うん、やっぱり短編はほっこりするね。
―――――
はいというわけで、まだ2月上旬なのに本年2回目の小説感想文にして地味に5ヵ月連続である(振り返ってみて自分でもびっくり)。そろそろ弾切れ……『八咫烏』シリーズの文庫化されたものがあと2冊で、これに『くま』を足してもあと1冊足りない。とは言え、この分で行くと四六判でしか出ていない『望月の烏』へと歩を進める可能性もあり、6ヵ月連続も夢物語ではない。「小説は読むスピードが遅いのであまり手を広げたくない」と言っていたのに、どうしてこんなことに。しかも『八咫烏』に挟まっていたチラシを見て一つ二つ気になっていたり……このラッシュ、いつまで続くんでしょう?
(2025.02.08)
|