2024年11月に読んだ漫画

タイトル巻数評価
< 新刊 >
  怪獣8号 14  ☆☆★
  ゴールデンマン  ☆☆☆
  ひねくれ騎士とふわふわ姫様 古城暮らしと小さなおうち  ☆☆☆
  乙嫁語り 15  ☆☆☆★
  昭和のグラゼニ  ☆☆★
  ブルーピリオド 16  ☆☆☆
< 既刊 >
  転スラ日記  ☆☆★
  こちら葛飾区亀有公園前派出所 97  ☆☆★
  こちら葛飾区亀有公園前派出所 98  ☆☆☆
  ワンパンマン 24  ☆☆★
  七つの大罪 22  ☆☆☆★
  七つの大罪 23  ☆☆☆★
  七つの大罪 24  ☆☆☆★
  坂道のアポロン 9/完  ☆☆★
  BLOODY MONDAY ラストシーズン  ☆☆★
  BLOODY MONDAY ラストシーズン  ☆☆★
  宇宙よりも遠い場所  ☆☆★
  王様の仕立て屋〜サルト・フィニート〜 30  ☆☆☆
  烏は主を選ばない  ☆☆☆☆★
  うちの小さな女中さん  ☆☆☆
  定額制夫のこづかい万歳 月額2万千円の金欠ライフ  ☆☆☆

 

【怪獣8号】
 佳境に入って盛り上がる展開のはずなんだけど、読んでる私は今一つ盛り上がってこない。なんでだろーねー。

【ゴールデンマン】
 長期連載考えてないんか!?と言いたくなるぐらい早くも核心とも言えるモロボシの正体に切り込む。モロボシの真実に関係しているのでは?と、裏に繋がる萬壽街へと出向く一行。そこでモロボシ=ゴールデンマンは、ボスに会うために門番の2人と戦うが……この2人の出自が“答え”なんじゃないかな。2人は「人体実験」の失敗作にして異能の力を持つ。おそらくモロボシもその研究施設の犠牲者なのだろう。と、そこまでは分かっても何故物語の開幕で本物のゴールデンマンと入れ替わって燃え盛る工場から出て来たのか。本物はどこへ消えてしまったのか。黒幕を倒しにとも考えられるが、誰にも相談せず黙ってその場から消えるようにしてまで一人で行く意味が分からない。ま、モロボシの正体が判明したあとのお楽しみだな。

【ひねくれ騎士とふわふわ姫様 古城暮らしと小さなおうち】
 クローニアの姉リアナ来訪。初手からルークスを「ケダモノ騎士」呼ばわりする彼女はクローニアのことを心から心配していた。でも(今どき流行らない?)ツンデレ風味なのでそれが妹に伝わっていない。熱くなってついつい心にもない言葉を発してしまうが……ルークスはクローニアの両耳をそっと押さえて聞こえないように。ファインプレーにして『デキ猫』の織塚部長を思い出す。もっとも彼の場合は姪っ子に聞かれては都合の悪い話を自分でしていたのだが。現実的には手で覆ったぐらいで相手の言葉が聞こえなくなるなんてことはないだろうが、そこは漫画ということで。
 ところでちょっと疑問なのだが、リアナは僅かな従者しか伴っていたが、王族が外に出るとなったら最低でももう2〜3人護衛が付きそうなもんだが。平和な国なんだろうか。

【乙嫁語り】
 久しぶりの最新刊! 買って来てちょっと1話だけ読もうと開いたら……結局最後まで読んじゃったよ! お陰で昼ご飯遅くなっちゃったよ! とりあえずあとがきから。

>『エマ』とも時代が違う
たった半世紀で?と思うが、現代でも半世紀違うと結構いろいろ違う。半世紀どころか現代日本を見ると平成前半と後半の10年20年ですら違う。今より流れは遅いとはいえ、19世紀でも真ん中と末では空気感が異なるのだろう。問題はそれが読者にどの程度分かるのか……分からなくてもいいんだよ! 森薫は自分が納得して作品を描いてるんだから! ところで15巻が遅くなった理由、体調面だと思ってたけどこの辺の調べ直しのせいなのかなあ?

>サフォーク
執事さん!(このネタ分かる人はいない?)

>タラスの髪の分け目
そうかタラスはシャスティルの親戚だったか!(*1)

*1 『魔奴愛』のシャスティルはポニーテールの向きが時々変わる……らしい(原作イラスト)(自分ではチェックしていない)。

>弓矢
考えたこともないけど普通右側だと思ってた。実際に番えるときを考えたら、左にしようとすると矢をくぐらせなきゃいけないからね。そんなわけで左利きだったらきっと左に番えるのだろう。あと、利き目の都合もあるかもしれない?

 本編。スミスがタラスを伴って実家に帰るが、当然のように結婚を反対される。現代だったら一言「頭の固い・考えの古い人間だ」と言う話になるが、時代が時代なのでむしろこれぐらいが普通だろう。父親は比較的理解を示している方だと思う。そこへホーキンズがやってきて、母親に同調するフリをしつつその場をとりあえず有耶無耶にする。いつも言っているが、こういう機転は学びたい。そしてホーキンズ、前々からそうだが何かと世話を焼いてくれるいい人だ。いつも言っているが、こういう友人がいる人生を歩みたかった(*2)。漫画としてはその後、スミスとタラスが関わった人たちのその後の一幕が挟まる。アリの元には「大金を稼いできた」という噂が流れて結婚希望者が続々。しかしながら大金の規模が「思ってたのと違う」ということで波が引いていく。この辺りも「所詮金か!」になりそうだが、時代と場所を考えなくてはいけない。現代日本のような社会保障が望めるべくもない環境ではお金の価値は絶対的正義なのだ……たぶん。
 というわけで続きが気になるので、なるべく早めにお願いしますねー。でも急いで雑になっても嫌なので、その辺は適宜よろしく――という手嶌葵『コクリコ坂から歌集』の『朝ごはんの歌』みたいなことを言うのであった(さっきから伝わらない話ばっかり)。

*2 いやそっちは初言いだろう。

【昭和のグラゼニ】
 1978年の日本シリーズ。ええ? 本当にこんなことあったの?とネットで調べるとかなり史実をなぞっているようだ。全然知らなかった。もちろん現実には本作主人公安田のような選手はおらず、第四戦でホームランを放ったのはスタメンのヒルトンという選手だった。抗議の際に相手チームの田上監督が安田に詰め寄ったというのも本作ならではの味付けだろう(現実で問題の“ホームラン”を放った大杉の次のバッターは「マニエル」とあり、そもそも言葉が通じないだろう)。 

【ブルーピリオド】
 課題の作品のためにホストのバイトをする八虎。最近漫画界でホスト流行ってる?(笑) 『トリリオンゲーム』では主役2人がバイトしてたし、『ラーメン赤猫』では「ホストクラブを始めたい猫」ジュエルが登場する。が、ホストに対する解像度が一番高いのは今回の『ブルーピリオド』のような気がする。いや、私その世界のこと全然何も知らないのでなんとなくだけど……いやいや、知ってたら怖いわ! 実はホストやってみたことあるんです、ってそんなわけねーだろ(笑) まず酒飲めないところで無理がある! え? 女の子が拒否反応示す顔の方が問題だって? うるせーほっとけ!
 『乙嫁語り』同様新刊出るまでに時間が掛かった本作だが、この辺のこと調べて、八虎がそこで何を見て何を感じ、どう自分の作品に反映させるかをいろいろやってたからかもしれないなあ(*3)。

*3 実際どうして遅くなったのか知らない。余談ついでに名前が出たので記しておくと、『トリリオンゲーム』も半年以上単行本出てない(来月も多分出ない)。何があったんだろう? 漫画の新刊出ないときは全部「作者の体調不良」を疑ってるんだけど……。

【こちら葛飾区亀有公園前派出所】
 97巻『両さんの就職案内』の途中で、まず中川と麗子の資格やスキルの多さ、レベルの高さの話になり、次に両津へと“飛び火”する。そう、実は両津勘吉って表面だけ見るとかなりハイスペック。規格外に手先器用で体力あって頑丈、ってだけでも引く手数多なはず。では何がダメかって、お金に目がなくてサボり癖があり、そして時には良心の呵責なく違法行為に手を染めるとこ(警察官としてダメじゃん)。さて、どうしてこんな両津が警察官を続けていられるでしょうか? 思いつくのは、下手に野に放したらヤバい犯罪者になりそうだから縛り付けてる説。警察官としての自覚があるから“こんなもん”で済んでるわけ。
 で、続く98巻で部長、中川、麗子の3人が両津に関する話をしていて、珍しく中川は両津のことを持ち上げる。しかしながら最終的には「頭の悪いゴルゴ13」と評し……部長が「知恵を付けたら怖いな」と。そう、だから両津は目の届くところに置かねばならないのだ。

【七つの大罪】
 メリオダス絶体絶命。RPGでも漫画でも、敵のラストボス1人を仲間複数人で囲むシーンが多いような気がするのだが、25巻ではその逆。我らが主人公が十戒の9人に取り囲まれる。そこからメリオダス死亡、世界は闇に包まれる……と続くのだが、もちろんメリオダスは生き返るし(主人公も不死身なのかよ!)、あと前聖騎士長ザラトスも復活していた(これは十戒メラスキュラの力か)。
 生き返ったメリオダスだが、生き返るたびに人間らしい感情を失って最凶の魔神族だった頃に戻っていく。例によって当たらない予想。十戒を順調なペースで倒しているので残りの巻数では余りそう。十戒倒して終わり、ではなく最終決戦の相手は最悪の形で復活したメリオダスなのかも? 残りの七つの大罪と、聖騎士たち、そしてアーサー王が集結し、最後はエリザベスの祈りが届き……みたいなエンディングになるだろうか。

【坂道のアポロン】
 表紙見て何となくは思っていたんだけど、一気に時間が進んで行く。結局主人公西見薫の家族との関係性ってところはあまり触れずに終わってしまう。別になくてもいいと言えばいいのだが、だったら序盤の描写は何だったんだろうとも感じる。そう、何だか全体的に細かいところを抜きにして大雑把にまとめた印象が残るのが残念。

【王様の仕立て屋〜サルト・フィニート〜】
 時計編の後半。機械式の職人たちがクオーツ式に拒否反応云々の話があるが、今はスマホのせいで時計そのものが“不要品”になりつつある。現在続編が連載中の本作だが、この巻について言えば描かれたのは10年以上も前。今だったら職人たちの思うところもまた違っているかもしれない。
 にしても“たかが”時計なのにえげつない値段するんだなあ。まあこんなの手作りで1個ずつ作るとなれば高価になるのも納得だが。少なくともわしゃー作れないし挑戦してみようとも思わない。そういやカメラは「手作りキット」みたいなのがあったが(フィルム交換できる「写ルンです」みたいなのが作れる)「時計を作ってみよう」なんてのは見たことがないな。いや、あるのかもしれないけど。あったら挑戦してみる? 値段とかそういうののバランスになるが、興味がないことはない。もっとも腕時計じゃなく置時計の大きさになると思うけど……。

【烏は主を選ばない】
 「桜花宮編」スタート。やはり先に原作で『烏に単は似合わない』を読んどいて正解。最初の騒動の後で雪哉が大紫の御前に呼び出されるが、これは『単』になかったような……おそらく『単』はあせびの君視点で話が進むからだろう。若宮も普段「うつけ」のフリをしているが、雪哉も大紫の御前で渾身?の「何も知らない無能の小僧」のフリ。そういや故郷の垂氷でも雪哉は本性隠してたんだっけ。うわー似た者同士だったんだなあ。金柑のくだり――若宮の「足りないか」に雪哉の「もう十分」は――「もっと偵察に行くか?」「いいえ収穫がありました」という意味だろうか。
 長束陣営への“スパイ”だが、いきなり新キャラが登場するとも思えない。今まで出てきた中で名前があるのは敦房と路近、あと処刑されてしまった北家の人ぐらい。他には思い当たらない……と思ったが、谷間で雪哉に傘をくれたあの人じゃないだろうか。長束陣営かどうかもよく分からない人物だったが、ああいう形で出てきたからには後から出番があるに違いない――と、これは自分で書いてても外れ予想の可能性大。というのも、谷間での話はコミカライズオリジナルのエピソードなので、かの人物の場面は原作にないのだ。とは言え、原作で後から出てくる人をコミカライズで先にちょい見せというのはあるかもしれない。
 想定外の展開をいろいろとぶち込んでくる。敦房が単身で乗り込んで来た。路近が乗り込んで来たら大騒動だけど、敦房なので実に平和?な話し合い(陳述?)。雪哉と澄尾が心の内で「この話どこまで信用していい?」と訝しがるが……ごめんなさい私素直に信用してました。若宮殿下の側近だったら失格です(笑) まーねー、路近だとウラがありそうだけど敦房だからねー。この後雪哉にかける言葉といい、敦房は嫌いにはなれない。いやまあ、路近も嫌いじゃないのだが。この2人、最後は軟着陸して欲しいところ。戻って「慙愧に堪えぬ」という表現を見るのはこれで二度目。一度目はもちろんあれです。アニメだったから漢字を見たのは今回が初か(あ、でも字幕で見たかも?)(*4)。ここで若宮が七夕の行事を“欠席した”理由が判明するが、若宮からすれば南家当主と話できるわ桜花宮行かなくていいわで一石二鳥。頭キレ過ぎるだろ。ところで敦房が来た時、例の銅鑼が鳴らされる。1巻でそういう設定あったのを思い出す。あの敦房が力いっぱい銅鑼を叩いているところを想像すると何だか少し可笑しい。私に絵心があればファンアートとしてそのカットを描くところだ。
 ここから先はコミカライズオリジナルのシーンとなるようだ。城下町での一幕は「仲良し3人組」といった雰囲気。最後に1つだけ残ったまんじゅうが年少者に譲られるが、雪哉は手でちぎって3つに分け、そのまま2人の口元へ持って行く。いやもう、なんでこんな場面描けるの!? 続く招陽宮のエピソードがこれまたいい。若宮は雪哉の背の高さに柱の傷を刻む。流石の雪哉も恐れ多くて大慌てだが、若宮はどんだけ雪哉のこと好きなの!? 最後は暮れ行く夕日を前に雪哉が尋ねる。普通にしていればこんなにのどかで楽しい日々を送れるのに、どうして自ら渦中に飛び込むのかと。もちろんこれは本気の質問ではないだろう。雪哉は答えを聞かずとも分かっていて、だから拗ねているのだ。とてもとてもとてもとても印象的なシーンで、この後に続く激動を予感させる。

*4 『シン・エヴァンゲリオン』の真希波・マリ・イラストリアスのセリフである。

【うちの小さな女中さん】
 畳の上の水泳術って、何かそういう言い回しがあったような気がする……。やっぱりそれだけでは泳げるようにならなかったみたいだし。

【定額制夫のこづかい万歳 月額2万千円の金欠ライフ】
 巻末に突如として『吉本’s妻のエッセイ』というのが載っているのだが、ただ者じゃない雰囲気を漂わせている。漫画(夫著)の方がひたすらライトで軽いのに対し、エッセイ(妻著)の重厚感よ。もしかしてかつては文章で食ってた人なんだろうか?

―――――
 11月はちょっといろいろやることが多かったせいか、月末まで既刊漫画が残ってしまった。最後の3日間で4冊ぐらい慌てて読んだかな。ちょっと増やし過ぎかもしれないけど、今年はずっとこれぐらいだった。今月がちょっと忙しかっただけだよね。来月もいろいろ忙しくなりそうなので、既刊に関しては頭からガンガン消化した方がいいかもしれない(いつもはある程度我慢してなるべく均等に読んでいる)。
 新刊は6冊で「善きかな」といったところ。反動来るぞと怯えていたが、いずこ? 12月も十分にあるので、一時の過疎状態は脱したと思って良さそう。ただ、近日中に(完結の方向で)1つ2つ減ることになるので油断はならない。あと、しばらく出ていない漫画がちらほらある。『るろ剣』は療養中との話も聞いた。今月出た中では、『乙嫁語り』が2年ぶり、『ブルーピリオド』も1年ぶりと普段より長いインターバルだった。ここ最近漫画家の体調不良の話をよく聞くような気がして、お二人もそうかと思っていたのだがあんまり情報収集していない&流れてこないこともあって真実は不明。それでもすべての漫画家に告ぐ。お身体大事になさってください。
 既刊は『よりもい』がまさかの復活。橘雪翼にしては珍しくアニメ見て「面白かった」ということで漫画版を買った――4、5年前の話かな? ところがイマイチすぎて1巻で読むのを辞めた。先日後輩といろいろくっちゃべっていて『よりもい』の話になり、ちょっと読み返したところそんなに扱き下ろすほどでもない。当時私に何があったんだろう?と訝しくなるレベル。ちなみにその際に『BLOODY MONDAY』の話題にもなり、そこで今回両者をまとめて読んでみることになったのだ。

(2024.11.30)
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