2024年10月中頃〜11月に読んだ小説

  
 いつもは4冊読むのに2〜3ヵ月かかるが、前回の途中から付いた勢いが止まらず1ヵ月半ほどでの小説感想文となった。そもそも論で小説は手広く読んでないが故にストックがない。4冊刊行されるのに2〜3ヵ月かかることが多いというのが普段のペースの理由でもあるのだが、今回は“新しいシリーズ”に手を出した。従って……次も早くなりそうだ。

【Re:ゼロから始める異世界生活39】
 9章突入! もう9章だよ! 何章まで続くんだよ!
 と言う訳でようやく長い長い帝国編が終わった。アルデバランたっての願いで帝国に飛ばされる直前にいたプレアデス監視塔に再び舞い戻る……が、そのアルが“裏切る”展開に。スバルをベアトリスと一緒に封じ込めて、死に戻りの権能を活かしての立ち回り。ここまでスバルが主人公で死に戻りする側の物語だったが、ここでそれを敵に回す形になる(もちろん登場人物はその認識がなく、読者観点での話である)。そうか、スバルってこんなにウザいやつだったのか。しかもアルは振り切り度合いがスバルの比ではない。スバルの死に戻りはせいぜい数十回ぐらい?だったが、アルはその上の桁数の試行を何とも思わない。そういや帝国でもそんな描写があったような気がするが、改めて思う、ヤバいやつだと。最後に剣聖ラインハルトが出てくるが、果たしてアルを止めることができるのか? 出来たら世話ないので出来なさそうだが、そうするとこの章このまま主人公不在で話が進みそうで怖い。
 始まって速攻の、そしていつも当たらないくせに大好きな展開予想で恐縮だが、とてつもなく気になる描写がある。アルがスバルとベアトリスを封印する際に、ここまでのアルの試行回数とその簡単な経緯が抽象的に記されている。そして唯一失敗しなかった試行回数ゼロの相手がナツキ・スバルだった。これ、本当にそうなのだろうか? 「最初に上手く行った」と思っていたのはアルの勝手な思い込みで、実は何か致命的なミスをやらかしていたとかじゃないだろうか。それに気付かず“話を進めて”しまったが故にいずれ封印が解けるとも考えずに突っ走り、最後「オル・シャマク」から帰還したスバルとベアトリスに大逆転を喰らう、みたいな。さあ! 続き……というか最後どうなるか楽しみだ!

【烏に単は似合わない】
 8月から漫画『烏は主を選ばない』を読み始めているが、その原作。物語のスタートが分かっていなくて、アニメ化されたタイトルが『烏は主を〜』だったので何の疑いも持たずに読み始めた(その時『単』の存在をよく認識していなかった)。ところが途中で、第一作が『単』であることを知り、さらには漫画3巻末の次巻予告で「単と主の物語が繋がる」とあっては『単』を先に読まなくてはならない。だがしかし、ここ何年かは既刊漫画は買うタイミングと読み進めるペースを自縄自縛しており如何ともしがたい状況だった。いやそんなもん(縄)、自分で引きちぎればいいだけの話なのだが、今回は「原作が小説である」ことを逆手に取り、小説には何の縄も掛かってないという理論で『単』は原作で一気に読むことになった。
 読み終わって「ポカーン」。これは……ミスリードというやつになるのだろうか? 表紙と本編の四分の三ぐらいまでは間違いなく「主人公:あせびの君」で話が進んでいたはず。最終章で何やら怪しい空気が漂い始め、そして最後に“ひっくり返る”。男性である私目線で言うと「女って怖えぇ!」である。だいたいにおいて冒頭も酷い。「すみ」って言われたら普通澄尾のことやと思うやん?……ってこれは先に『主』を読み始めた俺が悪いのか。一応途中で澄尾出てくるけど、一瞬だけだし、ここだけ読んで「この人物がプロローグの『すみ』か」と繋げる人をどれだけアテにしているか(多分普段の私なら澄尾が出てくるところでプロローグのことは忘れている)。ま、それはさておき。「男だと思ったら実は女の子でした」を小説でやるとはね。
 ちなみに秋の章まで読み終えた段階で私は暢気にも「ははーんそういうことか」と早合点していつもの当たらない予想をしていた。まず浜木綿はそもそも入内する気がなかった。白珠は正気を失って離脱。残るは真赭の薄とあせびで、ここから主人公あせびが選ばれる前提で逆算する。ここまで桜花宮に顔を見せなかった若宮だが、『主』で尤もらしい理由が語られている(『単』でもそこに言及されているが、まったく違うもの?)。しかしこれは話の展開のためにそうしたものだと思っていた。即ち真赭の薄が思いを寄せた若宮殿下は実は別の人物で、いざ若宮が姿を現すと「えっ……違う」となって離脱させるための伏線だと思っていた。いやー、まっっっっったく予想外れましたねー。ここまで外れても予想することがやめられない私なのでした(笑)
 さて、既に漫画で『主』を読み始めている私だからこれぐらいのことは何とも思わないが、もし『単』(原作、漫画版問わず)から読んでいたら「なんじゃこりゃー! もう続き読まへん!」となっていた可能性はある。よくぞ1冊目の話にこれを持って来たものよ。

【Re:ゼロから始める異世界生活 短編集11】
 今回収録の話は店舗特典などで配られた短編が多く、収録話数も増えて短編集らしい短編集になっている。店舗特典の性質上「読んでいても読んでいなくても本編を読むのに差し障りのない話」ではあるが、本編では語られていない隙間の話となっていて、物語に奥行きを与えてくれている。
 にしても、本編が長いせいで登場人物も多く、ちょっとした登場人物は覚えていないんだろうな……と。最初の話はロズワールの若かりし頃のもので、ロズワールに加えてラッセルとマーコスという3人が中心となる。はい、このラッセルとマーコスって、もしかして本編で出て来てる? 何か雰囲気的にそうっぽくて、でも覚えがない。かといって本編あの冊数だからなあ。拾い読みするにしても読み返す気になれん。こういうときはあれだ、ネットに頼るしかない。気が向いたら検索してみよう。

【才女のお世話 9
 高嶺の花だらけな名門校で、学院一のお嬢様(生活能力皆無)を陰ながらお世話することになりました
 まず最初に何より言っておきたいことがある。新キャラが2人登場する。1人は生徒会長立候補の城東蓮、もう一人がその補佐ポジションであり副会長立候補の旭凛太郎。凛太郎は主人公友成伊月のクラスメイトの旭さんの弟でもある。この「凛太郎」というネーミングが問題……『クラなつ』の主人公志藤凛太郎と名前が被っている。坂石先生何でこんな名前にしたんですか!? 慣れるまで読みにくいったらありゃしなかった! そりゃ赤の他人の小説で出版社も違う。チェックしてるわけがないと言われればそれまでなんだけど、時を同じくして刊行されている同じ「イラスト みわべさくら」のライトノベルだから知っててもバチは当たるめえ。みわべ先生の方から「『クラなつ』の主人公と名前一緒ですね」的なコメントが出てくれれば良かったかもなんだけど、そちらへは「新キャラ2人お願いしまーす、こうこう、こういう感じの子たちでーす」ぐらいしか伝達が行ってなかった可能性も大。ま、刊行されちまったもんはしょうがねえ。今後『才女のお世話』で凛太郎が中心となって進む話もおそらくないだろうし。
 全然違う話で尺を取ってしまった。言わば「新章」とでも言うべき生徒会長選編が始まる。メインヒロインである雛子を除いた2人のサブヒロインが立候補し、第三候補として先述の城東蓮が出てくる(なお、男である)。途中まではやる気のない城東くんよりも暗躍するりんたろーくんの方が目立ち、そのまま順当に最後は美麗対成香の構図になるかと思わせといて……最後に城東くんが急にやる気出して主人公に立ち塞がる展開に――という状況を楽しんでいるのが琢磨。こいついろいろとどんだけ腹黒いんだろう。で、私は私で鈍すぎるので、ようやくここで前生徒会長と琢磨の元弟子がイコールであることに気付いた。いろいろと因縁というか、そういうのを繋げてくるね。ま、そんなわけで、「マネジメントゲーム」編同様に「つづく」となる。作者あとがきによると、「マネジメント」の際にもいろいろ頑張って勉強して話作ったらしいが、今回も同じくいろいろと調べているらしい。今まで5ヵ月おきに新刊が出ていたが(そんな一定のペースとは気付いてなかった)、厳しいので今後は半年おきになるそうな。うん、頑張ってねー!(他人事)
 ライトノベルが普通の小説と違うところはどこだろう? 話の内容が軽いと言われればそれまでだが、物理的な質量重量と違って計測することができないので線引きが難しいところ。私は(それが絶対とは断じないが)「挿絵があるかないか」だと思っている。本作はもちろん「あり」のライトノベルであるが、こういう挿絵が入る場所って誰が決めてるんだろう? 作者? 編集者? イラストレーターではないと思う流石に。何が言いたいのかと言うと、今巻の中盤あたりでサブヒロインの2人が主人公を“誘惑”するための自撮り写真を送って来る。挿絵があるのは美麗のみで成香のがない……なんでだ! どうしてなんだ! ここは両方用意しとくべきだろ! 挿絵の指示を出した人物に事情の説明を求める!!!

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 何か話の内容とは関係のない記述が多いような気がするが、気にしない気にしない。いつもの侃侃諤諤橘雪翼クオリティでお送りしました。前回分をちらっと読んでいると、何やら『才女のお世話』に関して特典がどーたらこーたらと書いているけど……はいそうですねメ□ンブックスで買いましたね(目を逸らしながら)。特典版を買ったとは言ってませんがその辺りはご想像にお任せします。
 次回予告だが、まず『主』を既に読み進めている。『才女のお世話』より早く読み終えるペースで進んでいたのだが、途中でストップ。何故か? 漫画版4巻の話に追い付いたからだ。4巻後半部分は漫画版オリジナルだったようで、ページをめくって一行読んだところで「あっこれ5巻の内容だ」と本を閉じることになった。続きの“解禁日”は明々後日の12月1日……正確には12月に入って漫画版5巻を読み終えてから。漫画の5巻で小説『主』の最後まで行くかどかは不明だが、仮に「6巻に続く」であったとしても最新刊に追い付いた時点で小説版の続きが解禁される――という謎ルールでやってます。『主』を読んだたら当然続く『黄金の烏』に突入する予定で、既に入手済みでスタンバイも出来ている。八咫烏シリーズ以外では、本項目で初となる「同人誌」が登場する予定。ちなみに漫画では『陸蒸気はじめました』が初にして現状唯一の同人誌だ。小説初となる同人誌は『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? エイプリルフールまとめ』……そう、『魔奴愛』の作者自身による“非公式”同人誌だ。一週間以上前に注文したのにまだ手元に届かないが、まあそう遅くはならないだろう。来月は12月なので『Re:ゼロ』が出るが、本編はなくExのみ。これが月末近くなので……戻って『主』と『黄金の烏』、さらには『空棺の烏』あたりまでを年内に読み進めることになるだろう。

(2024.11.28)
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